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甜茶no言葉遊びし短編(したい)ね

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【文月】

〜いかがお過ごしですか。〜
梅雨の明けたある日、小さくひまわりの挿絵された葉書に季節のご挨拶。
暑中御見舞い。
厳しい暑さの中、都会に出ているあの人はさぞ暑いだろう。
いささかな涼を届けたい。
この涼風の吹く山間の町の駅前のポストに投函した。
数日後、あの人からの便りが届いた。
封筒?連名?金色シール?これはもしや・・・
その夜、ビールを浴びるように飲んだ。
『なんでこんなに暑いのよー。おかわり!!』


【葉月】

ドドォーン。
耳を劈くような爆音とともに 夜の空にまさに大輪の花を広げた花火。
唸るような歓声が上がる。
その声の中に私の声もあった。
また上がる。爆音と歓声は止むことがなく空と地上とで連呼される。
ふと視線を感じる。
だが確かめる勇気はなく、見ることさえできない。
「凄かったね」
花火が終了して周りが帰り支度。
この機会に先ほどの視線の主を探してみようと見回した。
視線が合ったのは、「凄いね」と声を掛け合っていたカップル。
その男が苦笑い。
「どうしたの?」
「いやさっきの大声女と目が合った」
「やだー、ねえ、早くご飯食べに行こ」
私は、彼らに背をむけた。顔から花火でも飛び散る思いだ。
『日本の文化を楽しんで悪いか!』


【長月】

〜十五夜の夜、月からの使者が娘を迎えに来ました〜
「昔話は、ほんと科学に消されていくわね」
「月には、うさぎが住んで 餅つきしてるんだよって平気で母なんか話してたもの。
今となってはびっくり。ロケットまで飛んじゃってるものね」
今夜は満月。中秋の名月といわれる夜だ。
「ねえ少し飲んで行こうか。新しい店見つけたんだ」
女ふたりでおとずれた可愛いドアの店『FULL MOON (フルムーン)』。
店の内装も女同士でも居心地のいい雰囲気だ。
「いらっしゃいませ。はい今夜は貴女がかぐや姫。どうぞごゆるりと」
注文もしない前から食べるものがテーブルに運ばれて来た。
「ねえ、やばくない、この店?」
「あ、大丈夫。私んち家具屋だから」
店のオーダー表の端に小さく書かれた文字。
『満月デーは家具屋の姫(娘)は半額サービス』