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甜茶no言葉遊びし短編(したい)ね

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【卯月】

「はい、こっち向いて撮るわよ」
桜の花がたわわに咲き、校門での撮影会。
受付で名まえを告げると、担任になる先生が子どもの胸元にクラス章をつけてくださった。
「きょうからみなさんは小学一年生・・・」
校長先生のお話もきちんと聞けるようになったわが子を記念に残したい。
「はい。こっち向いて。あ、もう少し右そうそうもう少し」
言われるままに場所をずらす子。
「はい撮るわよー」
家に帰って写真を見る子。
「おかあさん、ピント合ってないじゃん。へたくそ」
「いいのよ、これで」
子どもの後ろにくっきり写る担任の先生。
『いい一年になりそうだわ』


【皐月】

晴れ渡る五月の空にたなびくこいのぼり。
「やっぱりこのサイズにして良かったわ。断然目立つもの」
やっと完成した新居に、初節句のこいのぼりを立てた。
お祝いに両親が来てくれるという。
「よく来てくれました。迷わなかった?」
「大丈夫だったよ。分かり易かった」
「そうでしょう」
「それにしても、こんな辺鄙(へんぴ)場所に家を建てるとは思わなかったから」
「仕方ないでしょ。家を建てるだけで精一杯。土地はできるだけ安価じゃないとね」
屋根まで掛かるほどのこいのぼりが雄々と泳ぐのを見上げながら呟く。
『ものは上手に使わないとね』


【水無月】

シャボン玉を作る。
うまく風に乗って  屋根まで飛んだ。
またシャボン玉を作る。
優しく息を吹き入れて、さっきよりも大きく膨らんだ。
瞬間、飛ばずに顔の前でこわれて消えた。
「やだぁー」
今度は細かく幾つものシャボン玉が空へ飛んでいった。
「誰?他人(ひと)んちの洗濯物にシャボン玉つけないでちょうだい」
ベランダの仕切りの向こうから怒鳴られた。
風情の分からない人がいるもんだと思いつつも、逆の立場ならわからない。
都会のマンション。
『お風呂の中でシャボン玉飛ばそ』