甜茶no駄洒落へようこそ
【ふしぎの国のアリス】
親方は、酔っていた。
ここは、花町。吉原の遊郭。
腕のいい親方に髪飾りの細工の直しを頼んでいた。
するとひと足先に帰って行った見習いが慌てて部屋に飛び込んできた。
「親方―何処へやったんすか?」
見習いは、田舎から出てきたばかりで訛りがきつかった。
「なんだい、てめえ。こんなとこまで」
「ふろしぎのぉーくぎのぉー在りかっす(風呂敷の釘の在りかっす)」
「釘?花魁が風呂敷に包んで渡してくれたものかい?」
バツが悪そうに花魁の顔を見上げる。
凛とした花魁は、にっこり微笑んでぴしゃりと言った。
「そうでありんす」
※『風呂敷の釘の在りかっす⇒ふしぎの国のアリス』
『(そうで)ありんす⇒アリス』
作品名:甜茶no駄洒落へようこそ 作家名:甜茶