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普通がいい!

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教室のドアの前に突っ立ていると、クラスメイトの安藤が来る。
そして迷惑なくらい大きな声であいさつしてきた。
「おう佐藤、おはよう! 今日は早くのお出ましだな!」
その時、ブラックアウトしていた意識がはっきりとしてきた。
「バ、バカ! 静かに…」
すると教室のドアが勢いよく開いた。
針乃がすごい顔で睨んでくる。
「まさか、聞いてたの……」
かなりすごい剣幕である。
下手なことを言えば殺されかねない。
「い、いや………」
針乃の顔にはほんのりと朱が浮かんでいた。
もしかしたら、という思いが頭を走る。
しかしすぐに消えた。
命の危機が迫っているのにそんな呆
ほう
けたことは考えられないからだ。
「息の根、止めてやる……」
本格的にやばくなってきた………。
すると、安藤が口を開いた。
「まったくよぉ、さっきから俺のことを無視しやがりやがって…お前が校門くぐった時からさっきの言葉を繰り返してたんだぞ」
「え? はっ! あ、ああごめん、考え事していてさ………」
すると、針乃は少し驚いた顔をして、後ろを向いた。
「聞いてないならいい…」
そうつぶやいて去っていった。

すると、安藤は佐藤の腕をつかんだ。
「佐藤、トイレに行こうぜ!」
「あ、ああ」
佐藤と安藤は廊下の角まで歩いていくと、安藤が口を開く。
「た、助かった、ありがとう…」
「どうした?」
そこで、安藤にこれまでの経緯
いきさつ
を話す。
「それは、たぶんlikeだ」
「え?」
「loveじゃなく、likeだってこと、意味は分かるだろ、あまり気にするな」
それだけ言って安藤は教室に戻っていった。
「そ、そうか、そうだよな!」
そんなことあるわけないと自分に言い聞かせる。
「あ、ほんとにトイレ…」


そんな佐藤の姿を安藤は物陰から見ていた。
「ここで確信させるわけにはいかない……」
安藤はつぶやく。
たとえ、卑怯だと思っても、これだけは譲れない、譲れるわけがなかった。
「くそっ! まさか、ライバルが親友なんてな…」
でも……。
「あいつを振り向かせるのは、俺だ」


「はぁ、スッキリした」
「やぁ、久しぶり」
トイレを済ませ、教室のドアの前まで来た佐藤に誰かが話しかける。
それを見て、佐藤は目を見開いた。
「帝釈天さん!? なぜここに!?」
帝釈天
たいしゃくてん
 天照
あまてらす
、佐藤の知り合いの中で一番の金持ちで一番胡散臭
うさんくさ
い名前の人が、佐藤の後ろに立っていった……。
作品名:普通がいい! 作家名:ks