普通がいい!
どうも佐藤です。
夢とは儚いものだ。
そして、夢とは何とも残酷なものだ。
ありもしない期待をさせ、目が覚めれば過酷な一日が始まる。
これを残酷と言わずになんと言うというのだ…。
…と、柄にもなくそんな哲学的な思いにふける。
「馬鹿か僕は……」
ベットから静かに降りる。
高校生となり早一ヶ月。実家を離れて一人暮らし。
そろそろ慣れてきたベット。
「それでも実家のふとんが恋しいな……」
なぜ、この下宿先でもふとんにしないかというと、単に釣り合いが取れないためである。
まぁ、下宿とはいっても、ただあるマンションを借りているだけなのだが…。
そして、なぜそのマンションで布団が釣り合わないかというと、単に西洋式のマンションというだけが理由ではない。
簡単に言うと、ここはお金持ちが住むはずのマンションだからだ。
なぜ僕がそこにいるかは聞かないでほしい。
この部屋は二階まであり、一階二階を含め六十坪というかなり広いものだ。
「この部屋無駄に広いんだよな…」
しかしこれでも狭いという僕の知り合いたちがいる。無論、お金持ちだ。
朝ごはんを作りに台所まで行く。
すると、玄関から一直線上ある二段ベットがもぞもぞと動き出した。
え? なんでほかにベットがあるかって? それはほかにも住んでいる人がいるということである。
…実はこの一ヶ月で居候が四人も増えたのだ。
その一人、ユウが口を開いた。
「腹減った…次郎、ご飯…」
「今作る、少し待て」
すると、ジャキッ、と金属音が聞こえる。
「おはようございます、主(あるじ)」
「おはよ、後、その呼び方はやめろよ?」
四人の中の一人、サムライさんが口を開く。
すると、あと一人起きてないことに気が付く。
ちなみに、あと一人は多分バイトでいないはず。
焼き魚を焼いている時間であと一人も起こすことにした。
「…あいつ起こすの、嫌なんだがな…」