普通がいい!
桜…。
雪のように降りしきる…桜。
そこに僕はいる。
目の前には一人の女の子が立っている。
僕たち一年生は今日が入学式だ。
女の子はその小さな口を開く。
…僕こと、佐藤次郎
さとうじろう
は今、かつてない緊張感を味わっていた。
「私……」
ごくりと喉が鳴る。
ま、まさか、これは! と、期待に胸が高鳴った。
高校生活が始まり、胸躍る展開。
これこそウハウハ学園生活だ!
そんなくだらない思考を僕がしてる間にも女の子は言葉を紡ぎだす。
「佐藤君のことが………」
緊張で胸がバクバク言っている。
女の子も顔が真っ赤だ。
しかし、それでも言葉は続けようとする。
僕もその言葉を待つ。
すると、女の子はうつむいた顔を上げた。
その眼は本気だ。
「好き……です」
風が吹き、桜の花びらが舞う。
春一番のような強い風は僕たちを祝福しているかのようだ。
僕たちの物語はここから、始まる………。
…………そんな、夢を、見た…。