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 そして作業開始からしばらく経ってゴールデンウィークとなった。
 オレはチャリに乗って駅前にあるネット喫茶を目指した。そこでは私服姿のつかさちゃんが待っていた。
 赤い半袖のTシャツの上からノースリーブの茶色と白のチェックのワンピースを着た彼女は右肩からバックを下げていた。
「あ、先輩」
「悪い、遅れた?」
「いえ…… まだ十分前ですよ」
 遅れるといけないから早めに家を出ておいて良かった。そのくらいの常識はオレにだってある。
「それより先輩、シナリオは考えて来ました?」
「ああ、この通りだ」
 これだけは天変地異が来ても忘れる訳にはいかないからな、
 オレは背負っているリュックを降ろすとチャックを開いて中にあるノートを見せた。今日つかさちゃんを呼んだのはこれまで書いたシナリオを見てもらう為だった。
 さすがに学校じゃ恥ずかしいので無理を言って来てもらったのだった。

 店内に入って部屋を借りる、
 つかさちゃんがシナリオを読んでいる間オレ2人分の飲み物を買って来た。
「ど、どうだ?」
 ページをパラパラめくってあらすじを見る、
 オレが必死で考えたキャラクターとセリフや設定、店で売っているアイテムなどの値段や旅に出る理由などを簡単に書き記した物だった。
 しかし正直自分の作った話を見せるのはとてつもなく恥ずかしかった。きっと笑われると分かっていても内心は凄く心配だった。
 そして帰ってきた言葉は……
「随分シンプルですね」
「うっ?」
 オレの胸に『思った通り』と言う名のナイフが突き刺さった。
「攫われた幼馴染を助ける為に主人公は旅に出る、最近の設定のこりすぎたシナリオより良いと思います」
「そ、そうか?」
「ただ主人公が随分地味ですね」
「えっ、主人公なんだから別に地味って訳じゃ……」
「それはそうですけど、特徴とか無いんですか?」
 ゲームなどのフィクションの主人公は普通の人間では無い場合が多いと言う、例えるなら改造人間やロボットや人造生物、はたまた神などの常識を超えた者に創られた存在など、
 どうしても人間を主人公にしたいのなら一国の王子か、魔族・神族などの人外ハーフなどの肩書き、もしくは特別な力を持った人間などをする必要らしい、
「そう言えば普通の人間ってあんまりいないな……」
「丁度パソコンもありますし、どう言ったのがあるか調べて見ましょうか」
 そう言ってつかさちゃんは店のパソコンを立ち上げる、
 タッチアップって言ったっけ? 彼女は画面だけを直視しながらキーボードだけを打ち込んだ。手慣れた物だった。
「そんな、家でもよくパソコン使いますから」
 つかさちゃんは謙遜する、
 しばらくすると検索を終えた。画面には様々なゲームの主人公の設定がまとめられたサイトを見つけた。
「前世が神で体の一部に不思議な力を秘めた聖痕があるとか、伝説の指輪や石版に選ばれた…… そう言えばそんなのもあったな」
「特別な武器やアイテムなどを持つ事により主人公自体が非現実的な存在になるんですね。まぁ、それだと主人公自体はただの人間って事になりますけど……」
「あ、だったらこうしよう。一応ファンタジーなんだし魔法や超能力みたいな物はある、主人公は住んでた村を滅ぼされてその時に一度死に掛けるっての、そこを通りかかった仲間に助けられて一命を取り留める…… どうだ?」
 そして仲間達と供に旅をしながら魔法や剣を教わり強くなり最後はヒロインを助け出す。
「そうですね、結構話は盛り上がりますね…… あ、だったら命が助かる理由はヒロインの影響だったって事にしませんか?」
「ああ、そうなると色々浮かんでくるな」
 協力してくれる仲間や戦う敵、はたまたどう言った場所で戦うかも頭に次々と浮かんでくる。
「ちょっと待っててくれ、書き直す」
「あ、私も手伝います」
 つかさちゃんはパソコンで色々調べてくれてオレは文章としてアイデアを書き足した。
「主人公の設定はこれくらいですね…… 後は敵の設定です」
 例え敵でも魅力はあった方がいい、
 普通は嫌がるだろうけど悪役ってのは意外とキャラが立つ、言い方を換えれば『裏サイドの主人公』と言う事になる、
 そう言う覚えはないだろうか? 実際オレも『この敵カッコ良い』とか『主人公より目立ってる』とか思った覚えがある、要するに敵となるキャラはある意味主人公と同格か、それ以上のインパクトが必要となる、
「最後はやられるけど、ライバルみたいなのは欲しいな」
 漫画では倒した敵が仲間になるのだが、それはゲームも同じだ。
 弱みを握られて止む無く敵に味方したり、本当の正義に目覚めて最後は主人公に力を貸してくれたりする場合もある。
「ええ、それと本来戦うべき敵以外にも通り道を塞いでしまっていて倒さなければ通れないって場合もありますよね」
 例に挙げてみる、
 港町に出没する海賊や航路の途中で出てくる巨大なイカやタコのモンスター、あとは山道を塞いでいる一つ目の怪物や町の門の前に立ってる巨人とかが代表だ。
「本来は平和の為に造ったはずなのに出来たら暴走して暴れまくるってのもあるよね?」
「平和を急ぎすぎて暴走してしまう、人外の者だけが世界を滅ぼす訳では無い、過ぎた力は自分が守ろうとした物まで滅ぼしてしまう…… って感じですか?」
「そうそう、それと一度倒した敵がパワーアップして再戦ってのもありだよな?」
 復活する敵の大抵はラスボスか直属の部下の手でアンデット化や異形化、サイボーグ化したりと色々ある。
「ファンタジーにメカってのもアレかと思うんだけど…… つかさちゃんはどう思う?」
 するとつかさちゃんは顎に指を当てて少し考える。
「私は深く考えた事はありませんけど別に構わないと思いますよ。元々ファンタジーは何でもありですから、乗り物も飛行船や蒸気船みたいな物が出てきますし…… もしかしてお嫌いなんですか?」
「いや、オレはロボットとか大好きだし、そう言うのが出てくると盛り上がる、だけど中にはガチなファンタジーの方が好きって奴もいるからさ」
 男子はともかく女子には多いだろうと思って聞いてみたんだけど心配はいらなかった。人によりけりだろうけど……