一緒にゲーム作りませんか?
両肩で息を切らしながら学校まで戻って来た。クラブ活動は終わったんだろう、校庭には誰もいなかった。
時計を見ると6時半を越えていて門が閉じていた。オレはとうとう体力の限界が訪れて両膝に手を付いて両肩を上下させてた。
「やっぱり…… 遅かったか」
喉が痛い、息が苦しい、体が暑い…… オレは額の汗を拭うと諦めて校舎から背を向けた。
と、その時だった。
「失礼しました」
門が開くと1人の少女が出てきた。オレは信じられなさそうに目を見開くとその子の名前を呼んだ。
「つかさちゃん!」
つかさちゃんはオレの顔を見て目を見開いた。
「吉崎先輩…… でしたっけ?」
オレは覚えてたのに彼女はうろ覚えか、今日始めて会ったんだし当然と言えば当然か、
「君…… 帰ったんじゃ?」
「教室に忘れ物をして、先生に無理を言って空けてもらったんです…… 先輩こそどうして?」
「そうか…… 良かった」
オレはホッとするとその場に片膝を付いた。
「ど、どうしたんですか? 汗ビッショリじゃ無いですか」
つかさちゃんは上着からハンカチを取り出すとオレに近づいた。
ハンカチが顔に触れる瞬間、オレはつかさちゃんの白い手をつかんだ。今のオレの体温が高いからかつかさちゃんの手が冷たく感じる、
「っ? せ、先輩っ?」
つかさちゃんは両肩をビクつかせた。驚かせたんなら後で謝らなきゃいけない、だけど今はこの事しか言えない。
「つかさちゃん頼む、オレと…… オレとゲームを作ってくれ!」
「えっ?」
「君の力が…… 必要なんだ…… た、頼む!」
つかさちゃんは残った左手で口を抑えると目を泳がせた。一瞬困ったような顔をするがそれは当たり前だ。
断っておきながら一緒に作ってくれなんて虫が良すぎる。だけど頼れるのは彼女しかいなかった。
「……良いですよ」
やがてつかさちゃんは口元を緩めるともう片方の手をオレの右手に被せた。
「私でよければ…… お手伝いします」
「ああ」
オレは力強く頷いた。オレみたいなバカでも分かるものすごく簡単な答えだ。
例え夢でもそれを叶えれば現実になる、嘘をついたってそれを実行すれば本物になる、
本当にオレにゲームが作れるかどうかなんて分からない、だけど1つだけ確かな事がある、それは今日この日、オレはゲームをする側から作る側になったって事だ。
作品名:一緒にゲーム作りませんか? 作家名:kazuyuki