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一緒にゲーム作りませんか?

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 共通の会話が出来て凄く嬉しかった。すると来栖さんは言って来た。
「実は私ね、いつか自分のゲームを作ろうと思ってるの」
「委員長も?」
「もしかして、吉崎君もゲーム作ろうとしてるの?」
「えっ、ああ…… う、うん!」 
 何言ってんだオレ? つかさちゃんの誘いを断っといて……
 つーか流行ってんのかゲーム作り、思わず頷いちまったオレに来栖さんは言って来た。
「じゃあ、あれに参加してみない?」
 白くて長い指先にはポスターが貼られていた。
「プラネット社主催、自作ゲームコンテスト?」
 オレは声に出して読み上げた。
 自作ゲームを募集していて入賞すると賞金と供に商品化の契約をしてくれると言うのだ。
「家の会社のイベントでね、吉崎君ほどゲームに詳しければ、きっとたくさんの人達を楽しませられると思うの」
「ム、無理だよ。オレなんて何時の赤点ギリギリだし、人を喜ばせるなんてとても……」
「もちろん強制じゃ無いし、吉崎君次第でいいから…… それじゃあ、また明日ね」
 卑屈になるオレに来栖さんは天使のような笑みを浮かべて背を向けて立ち去った。
 残されたオレは呆然と立ち尽くしていた。
「……とんでもない事言っちまったな」
 オレは凄い嘘つきだって事を自分でも理解していた。
 単に作るのが面倒でつかさちゃんの誘いを断り、
 憧れていた来栖さんに話し掛けられて思わず『YES』と言ってしまったオレは最低の人間だった。
「オレ…… どうしたら?」
 オレは握り拳を作ると来栖さんの家の会社のポスターを見た。
 これによると作るジャンルはオリジナルなら何でも良いらしい、
 ロールプレイング、恋愛シュミレーション、シューティング…… それらのどれか1つを作り8月31日までに会社に持って行くか郵便で送れば良いと書かれている、
「優秀賞は賞金100万円を進呈、商品化も考えられる、か……」
 正直賞金も商品化もどうでもよかった。
 来栖さんはゲームオタクのオレの話を聞いてくれた。そして彼女もつかさちゃんも好きな物を形にしようとしている、
 それに引き換えオレはどうだ? 作るのが面倒ってだけでずっとその場で立っているだけだ。 

 多分10分も経ってないだろう、
 頭の悪いオレは脳細胞をフル回転させて答えを作った。
「……まだ、いるかな?」
 オレは店を出ると薄暗くなった町の中を疾走した。体育会系って訳じゃ無いので少し走っただけで息が切れるし脇腹も痛い、
 考えてみればまた明日学校で会えるのだからその時に話せば良いと思った。しかし今のオレには1分1秒が惜しかった。明日まで待つなんてとてもできなかった。