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一緒にゲーム作りませんか?

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 オレもその後教室に戻り午後の授業の準備を始めた。
 次は最も眠たくなる数学の授業だ。しかもオレの席は教師に指されにくい上に春の強烈な温かさがオレの体を照らし、眠りと言う名のパラダイスへ導こうとしていた。
「ん?」
 ふと窓の外を見ると校庭では体操着に着替えた女子達がバレーをしていた。その中には授業に間に合ったのだろう、つかさちゃんの姿もあった。

 授業が終わりオレ達学生は学校と言う束縛から解放された。
 帰宅部のオレはさっさと荷物を整えると教室を出て部活をやっている連中を横目に学校を後にした。
「おっと、忘れてた」
 校門を出て数歩歩くとオレは足を止めた。
 この前雑誌で見たゲームソフトを予約しなければならなかった。帰り道とは違う方向に歩くといつも通っている店へと向った。
 今時店で予約するのも珍しいと思うだろうが、実はオレの家はパソコンが無かった。
 いや、本当はあったと言い直そう、そこまでオレん家は時代遅れじゃ無い、親父が単身赴任が決まった時に一緒に持って行っちまったからだ。
 以前オレ用にパソコン買ってくれと親父達に頼んだ事があったが軽くあしらわれた。オレにパソコン買ってやったら学校にも行かずにネット廃人になるのは目に見えてるからだと言って来た。
 確かにオンラインゲームは凄い興味がある、卓じゃなくたって年齢指定ゲームもやってみたいと思ってる、何せオレだって健全な男だからな、否定はしないさ、
 だからゲームはこうして店で予約するか、どうしてもパソコンを使わなきゃいけない時は駅前にあるネット喫茶に行く事にしている、
 香奈の家にもパソコンはあるのだが、あいつは一度借りる度に最初の5分だけ500円、1分過ぎる度に300円も払わなければならない、ボッタクリ・バーも真っ青なシステムで払わされるのであればネット喫茶の方が数段良いに決まってる、ジュースも飲めしな、ボッタクリ・バーよりドリンク・バーだ。

 大体歩いて10分くらいだろう、
 大きな駐車場に赤い屋根と白く塗られたタイルの建物の『ストライク・バニッシュ』と言うどこかの特撮ヒーローの必殺技の名前のような店にやって来た。
 基本はホームセンターで家電も雑誌もインスタント食品もビデオのレンタルも行っている、オレが生まれる前から開店しているこの店は最早ホームセンターと言うより何でも屋と言うような感じだ。
 オレは店の自動ドアを潜ると家電売り場を通り過ぎてゲームコーナーへやって来た。この店は基本的品揃えが良い、中古のゲームソフトも時々だがレアな物も存在する、
「さてと、さっさと済ませ…… ええっ?」
 ゲームコーナーの入り口にあるカウンターを見た瞬間、オレはマジで驚いた。
 何しろカウンターの前では優等生の来栖さんが買い物をしていたからだ。しかも購入したのはゲームソフトだった。
「ありがとうございます」
 来栖さんは釣銭を貰って振り返るとオレに気付いた。
「あら、吉崎君?」
 オレを知ってる?
 いや、同じクラスなんだからオレの事を知っててもおかしくは無いか……
「どうかした?」
 来栖さんはオレの顔を除いてきた。
 正直オレの意識はホンの少しだが飛んでいた。
 まさか名前を呼んでくれるとは思わなかったからどんな反応して良いか分からなかった。
「えっ? ああ、何でも…… ただゲームの予約をしようと思ってさ……」
「吉崎君もゲームするの?」
 来栖さんは顔を明るくして両手を合わせた。
 まぁ来栖さんはゲーム会社の社長令嬢だからゲームの1つや2つやるだろうからあまり驚きはしなかった。
 だけど条件反射と言う奴か思わずこう尋ねてしまった。
「委員長もゲームやるの?」
 オレは尋ねた。
 ちなみにオレを含めてクラスの男子は来栖さんの事を『委員長』と呼んでいる、実際委員長なんだけど…… 
 なお香奈を含んだクラスの女子は『来栖さん』や『聖子』と呼んでいる、
「うん、私、ゲームには目がないの、今だって買ったばかりなのよ」
 来栖さんは本当に嬉しそうにレジ袋を見せた。今日この良き日を神に感謝しなければならない、
 えっ、今朝はクレームつけるとか言ってなかったかって? まぁ、それはそれ、これはこれ、ケース・バイ・ケースって事で……
 そんな事を考えていると来栖さんは訪ねて来た。
「吉崎君って、どんなゲームが好きなの?」
「えっ、う〜ん…… 何でもやるけど、やっぱり普通にRPGが多いかな」
「じゃあ好きな機種とかは? ブランドは?」
 彼女はお家柄、買う側の意見を聞きたいのだろうオレは正直に答えた。