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 あれからつかさちゃんを駅で見送り、香奈と一緒に家に帰った。
 翌日の早朝、オレは香奈に叩き起こされると顔を洗って朝食を取ると歯を磨くと香奈が待っていたリビングでノートを開いた。
「私は今日はお昼からバイトが入ってるし、時間も無いから速効で終わらせるわよ」
「ああ!」
 オレはシャーペンを手に取った。

 ラスボス戦の設定は出来てる、
 今までヴァン達に倒された神官を合体させて蘇らせた大魔人ゴーダイムを倒され、さらに続けて大神官シュヴァルツと戦ってこれにも勝利、
 追い詰められたシュヴァルツはレイを取り込んだ魔王ガヴィアロスを復活させてしまう、だが赤い満月が昇っていなかったが為にガヴィアロスは暴走してしまいシュヴァルツを殺してしまう、
 その後も暴走は止まる事無く地下神殿を破壊しまくるガヴィアロスを止めようとヴァン達は世界を救う為に最後の戦いを挑む、
 ここまでは出来てる、後はどうやって最後を締めくくるかだ。

 エンディングはやっぱり大事だ。
 今までの冒険が結果として出てくる、いくら過程が良くても最後がダメなら何の意味も無い、なるべく感動できる最後がいい。
「なぁ香奈、お前結婚ってどう思う?」
「な、何言ってんのよ? まだ早いでしょ私達には?」
 香奈は顔を赤くしていた。一体どんな想像したんだこいつは?
「もしお前がレイだったらって聞いたんだよ! 最後はやっぱりヴァンと結婚する方を望むか?」
「えっ? ああ、そうね……」
 香奈は目を泳がせながら肩を落とした。
「……まぁ、確かに主人公とヒロインが最後に結ばれるのは定番と言えば定番だけど…… 捻りが無さ過ぎよね」
「そうだよな……」
 香奈の言うとおりだった。
 明らかに単調過ぎる、オレだって悪くないとは思うが面白いとも思わない、
「あとはここだけなんだよな……」
 オレは左手で髪を掻き毟った。
 まだ時間はあるとは言え編集の時間を考えると早い内に終わらせなければならない、だが一向にペンが進まなかった。
「どうする〜?」
 正直オレの脳細胞は限界寸前だった。
 いや、思考能力が殆ど無いオレにとってここまで来れた事自体が奇跡だろう、だけど今は本当に奇跡が起こるのを祈るしかなかった。
「埒があかないな」
 オレは携帯を持って立ち上がった。
「どうしたのよ?」
「つかさちゃんにも聞いてみる」
「止めなさいよ、つかさちゃん忙しいんだから……」
「……だけどつかさちゃんだって仲間だろ?」
「……そうね」
 そう言うと香奈は少し考え込むとため息を零しながら頷いた。
 昨日ならば本当にケンカになってただろう、だけど今は違う、互いの立場を尊重し合いやるべき事が分かった今なら会話が無しでも分かる。

 オレはつかさちゃんに連絡を入れた。
『はい』
「あ、つかさちゃん? ちょっと聞きたい事があるんだけど…… 結婚ってどうおもう?」
『えええっ? けっ、結婚ですかっ? わ、私達はまだ高校生で…… その、法律的にも問題が……』
 つかさちゃんまで何慌ててんだ?
 オレはとりあえず彼女を落ち着かせて説明をした。
「……そんな訳でつかさちゃんの意見も聞きたいんだ。ダメかな?」
『そ、そうだったんですか……』
 今度は残念がった。聞えないように配慮をしたんだろうがため息が聞えた。
『私もそう言ったラストは嫌いではありませんが…… とても賛成出来ないです』
 3人とも同じ答えだった。