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一緒にゲーム作りませんか?

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 気が付くとオレは町を歩いていた。
 オレはオタクだが引きこもりじゃ無い、本能的に体を動かしてた方がいいと思ってたんだろうな、しばらくすると目の前には香奈と初めてあったあの公園が映った。
「……そう言えばしばらく来てなかったな」
 オレは公園に入った。
 実を言うとオレはこの公園の遊具を殆ど使った事は殆ど無かった。
 ブランコも滑り台もシーソーも砂場さえもだ。 オレはいつもベンチに座ってゲーム機を弄っていた。
 今オレはそのベンチに腰をかける、あの時は足が地面に付かなかったが今では余裕だった。
「はぁ……」
 オレは大きくため息を零した。
 つかさちゃんはどうなっただろう、やっぱり直してくれたかな? 100歩譲って直してくれたとしてもこれからどうするか、まだラストを仕上げてもないし作る気にもなれない、
 このままゲーム作りを終わるか、そうなれば結局仁さんの勝ちになる、オレは転校、来栖さんも会社も仁さんの物になる、いっそ土下座でもして謝るか……
 そう考えてしまった時だった。
「……先輩」
 ふと耳に入ってきた言葉でオレは我に返った。
「つかさちゃん…… どうしてここに?」
 そこには私服姿のつかさちゃんがいた。
「香奈ちゃんから聞いたんです、それでお家の方に行ったんですけど留守みたいで……」
 心配してくれたのか、
 つかさちゃんは一間置くと言って来た。
「聞きました。香奈ちゃんに酷い事を言ったんですよね?」
「あっ……」
 オレは夕方の事を思い出した。
 頭が冷えた今のオレになら分かる、確かに頭に血が上ったとは言えあんな事を言ったオレが悪い、
 オレはつかさちゃんとまともに顔を合わす事が出来ずに目を反らした。多分色々言われるだろう、軽蔑されて当たり前の事をしたのだから覚悟は出来てる、
 だが次の瞬間、彼女が口にした言葉はオレが思っていたのとは別の言葉だった。
「……何かあったんですか?」
「えっ?」
「先輩と香奈ちゃんがケンカするのは分かりましたけど、でも先輩が香奈ちゃんに酷い事をするなんて考えられないんです…… 私の想像ですけど」
 だがオレは口を紡いだ。
 オレだって男だ。告げ口みたいで嫌だった。
「話したくなければそれで構いません、ですが以前言いましたよね。私はゲームで大勢の人を喜ばせたいって…… 先輩もその内の一人なんです」
 オレは初めてつかさちゃんと会った日の言葉を思い出した。
 つかさちゃんは肩の力を抜くと言って来た。
「……今の先輩は昔の私に似てるんです」
「どう言う事?」
「香奈ちゃんに話したんですけど……」
 つかさちゃんは自分の過去を話してくれた。
 彼女が中学時代に虐めに合った事、さらに家に引き籠もって登校拒否だった事も全部オレに教えてくれた。
「う、嘘だろ?」
 今のつかさちゃんからはまるで想像できなかった。
 確かに香奈のような性格じゃ無いが来栖さんみたいなタイプでもない、少し地味で大人しいってだけで、その辺にいる普通の女の子だ。
「私は嘘と椎茸が嫌いです、だけどそれより嫌いなのは…… 大好きな人が苦しんでる事です」
 するとつかさちゃんはオレの両手をつかむとオレの目を見た。
「話してください先輩、私でよければ相談に乗りますから」
 その時だった。突然オレの目頭が熱くなり涙が溢れ出すとつかさちゃんの手に落ちて弾かれた。
「せ、先輩?」
「ううっ……」
 オレは泣くのに必死で話す事が出来なかった。
 空いた片方の手をつかさちゃんの手の上に乗せるとそのまま額に付けてすすり泣いた。