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一緒にゲーム作りませんか?

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 時間が持たないのでオレは2階からゲームの入った箱を持って来た。本当は1つのダンボールにゴチャ混ぜにしてあったんだけど前日に同じ機種別に分けておいた。
 我ながら良く集めたものだ。数えてみると50個も超えていた。
「アンタ、ゲーム屋でも始める気?」
「うわぁ、すごいです……」
「つかさちゃんはどんなの持って来た?」
「あ、はい、私のは……」
 そう言うとつかさちゃんは鞄の中から自分のゲームを取り出した。
 つかさちゃんの持って来たソフトの中にはプラネット社のもあった。やっぱりメジャーなのはプレイしてるんだな。
「よし、さっさと始めるか。」
 オレ達は手分けしてゲームをプレイした。
 丸一日かけるとオレ達はゲームのイベントをリストに書き記した。
「薬師を助けに村の外れの洞窟に行く、鎖国だった国に敵が攻めてきて戦う、タイムスリップしたお姫様を助けに行く……」
 全部言ったら切りが無いが一通り読み上げる。
「中には主人公キャラ各個人の冒険もありましたね」
「それが縁で知り合って世界の危機に巻き込まれるっての…… でも主人公の目的はもう決まってるのよね」
「ああ、問題は主人公が旅に出て起こる最初のイベントだ。なるべくインパクトがあって派手じゃないのが良い」
 結構ワガママな条件だよな、
「あ、だったらさ。一度村に戻るってのは? 手がかりが無いか村に戻って調べようとした所に襲った敵の仲間がいて、そいつと戦うっての」
「敵が何か手がかりになるような物を落としててそれを取りに来た敵と戦うって事か、いいかも!」
「そうですね、じゃあその手掛かりは主人公が敵に襲われて死にかけた時に手に?んでいたって事にしません? 探偵物で言う所のダイイングメッセージみたいに」
「それが敵の城に入る為の鍵、もしくは敵の計画に必要な物だったとか」
 いや、後者は明らかに無理か、大切な物ならアジトに残しておくもんだしな。
「待てろ、今から話をまとめる!」
 ノートにペンを走らせ約30分、オレはアイデアをまとめあげた。

 とにかく話の流れを整理しよう、
 最初にヴァンとレイが住むアーフの村が邪教徒に襲われ、レイを守ろうとヴァンも戦うがその時に殺されてしまい、シュヴァルツはその時に謎のアミュレットを落としてしまう、
 結局レイは攫われてしまうが薄れ行く意識の中、ヴァンはそのアミュレットを握り締めていた。
 その後、邪教徒達を追ってやって来た神官フィリスと護衛の騎士リックに助けられる、
 何か手がかりが無いかと村に戻り、その時にアミュレットを探しに来た邪教徒の1人、神官ドゥーザと戦い特殊能力(ヒロインから譲られた力)が発動して撃退、瀕死の重傷を負うもドゥーザは逃げ出す、
「そしてその後はアミュレットの秘密を知る為にフィリス達の故郷に向かい、それが古に倒されて魔王の骸の封印を解く鍵だって言う事を知る…… ってな具合でどうだ?」
「良いですね、スタートには相応しいです」
「確かに、悪くないわね」
 2人はすごく喜んだ。 
 ゲームのシナリオで一番必要なのはどれだけ人をストーリーに引き込めるかだ。
「次は!」
 エンジンが乗ってきたオレは香奈、つかさちゃんと一緒にゲーム作りに没頭した。

 数時間後、日も落ちてすっかり暗くなり夕飯の仕度になった。
 今晩の献立は香奈得意のカレーだった。
「美味しい、凄く美味しいよ香奈ちゃん」
「本当? 良かった。口にあって…… 勇なんて文句言うばかりなのよ」
 別に作ってくれる手前文句は言わない、もし言おうモンならきっと切り刻まれてカレーの具にされそうだ。

 夕食後、俺は客間に布団を敷いた。香奈とつかさちゃん2人が寝る分には十分だった。
「勇、アタシ達お風呂入るから」
「ん、ああ」
「……覗くんじゃないわよ」
「とっとと行けっ!」
 何考えてんだあいつは?
 アニメやゲームじゃ無いんだから現実にありえる訳無いだろ、っていうか覗きが犯罪だって事ぐらいオレだって知ってる。
「ったく…… あっ」
 そう言えばバスタオルあったっけ? 確か香奈が全部洗濯しちまったんじゃ…… 
「つかさちゃんもいるんだし、新しいのを用意しとくか」
 オレは別の部屋の押入れに仕舞ってあった買った新しいバスタオルを取り出して2人の元へ向った。
「香奈、つかさちゃん、良かったらこれ使って……」
 基本人間ってのは1つの事を覚えると1つを忘れてしまう物で、2人がこれから入浴するって事すっかり忘れてた。
 扉を開けると2人供下着に手を当ててる最中だった。香奈は青と白のツートンカラー、つかさちゃんのはフリル付きの可愛らしいオレンジだった。
「あっ……」
 オレ達3人が目を合わせて数秒、
 5月も後半なので寒い訳では無いのだが、つかさちゃんは小さな体を震わせると次第に口の形を変えて行く、
 香奈は右手を握り締めスタスタと足音静かにオレに近づいてきた。
「あ、あのですね香奈さん…… オレはバスタオルを届けに…… ああ、決して覗こうとした訳ではありませんので……」
「分かってるわよ、勇」
 香奈はニッコリと笑うと左手でバスタオルを受け取った。話が分かってくれたのか、さすが幼馴染だ。
「このバカ野郎」
「えっ?」
 次の瞬間オレの目の前が真っ暗になり気付いた時には床に転がっていた。おまけに体中が痛い……
「入る時に注意するべき点は?」
「ノ、ノックをする事…… です……」
 浴室の扉が壊れるくらいの音を立てて閉まった。オレは本日2度目の死亡、その場に力尽きた。