小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

一緒にゲーム作りませんか?

INDEX|19ページ/44ページ|

次のページ前のページ
 

 オレはチャリを引きながらつかさちゃんを家に案内していた。だけど彼女はオレとの間がかなり開いていた。
「あのさ…… 何でそんなに離れるの?」
 オレの約5メートルほど後ろを歩いていた。
 おまけに何だかオドオドしている、まるで知らない所に連れて来られた猫みたいだった。
「そ、そうですか? いつもこんな感じですよ……」
「そうだっけ?」
 オレ何かしたかな? 
 分からないけど後で謝っとくかと思っているとオレに家に到着、香奈が迎えてくれた。
「いらっしゃい。汚い所だけどゆっくりして行って」
「汚い所で悪かったな」
 オレは香奈に言った。お前がお袋から金貰って掃除してるんだろうに……
「おじゃまします……」
 つかさちゃんはまるで魔王の城にでも乗り込んだかのように表情を強張らせていた。
 香奈はつかさちゃんの緊張を解そうと後ろに回って両肩に手を乗せた。
「つかさちゃん、リラックスリラックス、自分の家だと思ってゆっくりして行って」
「お前の家じゃねぇだろ」
 こいつはまるで聞いてなかった。とりあえず一休みと言う事でお茶が出された。
「それにしても大きな荷物ね」
 香奈はソファーの上に置かれているバックを見る、
 それはオレも気になっていた。重そうだったから持とうとしたんだけれども、つかさちゃんは首を振り続けて断った。
「つかさちゃんもゲームとか持って来たの?」
「先輩が持ってるのと被るかもしれませんけど好きなゲームソフトを一通り、あと…… その…… 着替えも……」
「「えっ?」」
 オレと香奈の声がダブった。今何つった? 着替え?
「今日泊まりに来いって、先輩が……」
 その瞬間時間が止まったかのように思った。
 すると香奈は油の切れた機械のように首を動かすと顔を強張らせ、うすら笑いを浮かべながらオレを見た。
「これは一体どう言う事よ? アンタなんて言ったのっ?」
「えっ、いや…… オレにも何が何だか……」
 オレはつかさちゃんを見る、
 そんな事言ったっけ? 確か泊りがけでも大丈夫だって行った気がするが……
「だ、大丈夫です。私、今日…… 奇麗な下着穿いて来ましたからっ!」
 頭の中が真っ白になった。そして恐る恐る見た目線の先には魔王が立ち上がった。
 いや、そんな生優しいもんじゃない、どっちかと言うとラスボスよりも強力な隠しボスだった。
「歯ぁ食い縛れこの野郎……」
 この瞬間オレライフは0、セーブポイントからやり直しとなった。
 どこでセーブしたっけな?
 
 オレはつかさちゃんに手当てを受けながら誤解を解いた。
「ごめんなさい、私の勘違いで……」
 つかさちゃんは良い子だ。どこかの暴力女とは大違いだった。
「いいのよ別に、変な誤解させる奴が悪いんだから」
「だからって殴る事ぁ無ぇだろ!」
「アンタの顔は殴る為にあるのよ!」
 こいつ絶対嫁の貰い手無ぇぞ、
 仮にいたとしても本性を知って逃げ出すのがオチだろう、すると香奈は頬を膨らませながらリビングを出ようとした。
「ちょっと出てくる」
「……どこ行くんだよ?」
 オレが尋ねると刹那の沈黙が流れる……
「着替えとって来る、アタシも泊まるからね!」
 香奈は扉を乱暴に閉めて出ていった。
「何だってんだあいつは?」
「あの、先輩……」
「ん?」
「もしかしてですけど、香奈ちゃんは……」
 するとつかさちゃんは口ごもった。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ…… 気のせいです、忘れてください」
 それから1時間ぐらいすると香奈が荷物を持ってやって来た。
 つかさちゃんに負けないくらいの大きな荷物をテーブルに置くとオレ達を見た。
「やるからには徹底的にやるわよ。絶対に手なんか抜かない、良いわねっ!」
「は、はい!」
 しばらくは逆らわない方が良いな、
「それじゃまず、これから」
 香奈はカバンの中から一冊のファイルを取り出した。広げるとそこには香奈がペンタブレットで描いた主人公キャラと敵キャラのデザインが描かれていた。
 主人公ヴァン、女主人公レイ、神官フィリス、騎士リック、魔導士ロイド、仮面で顔を隠した邪教徒達とそれを束ねる大神官シュヴァルツ、魔王ガヴィアロス、
 しかも村や町のモブキャラまで全てが描かれていた。まるで普通に漫画に出てきそうなデザインの絵をオレ達に見せた。
「すごい、香奈ちゃん上手ね」
「別に、慣れれば誰でも描けるわよ。これをつかさちゃんのパソコンに送るから後でメアド教えてね」
「うん…… でもあれ、でも」
 つかさちゃんは眉を細めて絵をジッと見つめた。
「ヴァンって先輩に似てません?」
「えっ、そうか?」
 大して似てないような気もするけど……
 オレはヴァンの絵を見て見ると香奈は顔を赤くした。
「つ、つかさちゃん何言ってんのよ? そんな訳……」
「って言うか何慌ててんだ。トイレか?」
「そんな訳あるかっ!」
「ふげっ?」
 香奈の正拳突きがオレの顔面にめり込んで座椅子ごと横転した。
「別に…… ただ年がら年中顔を会わせてるから頭にこびりついただけよ! 変な誤解しないで!」
 オレはどんな油汚れだ?
 って言うか一体、いつ・どこで・誰が・何の誤解した? 小学生のような質問だがそれは事実だった。