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一緒にゲーム作りませんか?

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 あいつがあんなに泣いたのを見たのは初めてだった。それからあいつは金にこだわるようになった。金が有れば母さんは病気にならなかった。金が有れば母さんは働かなくて済んだかもしれないと……
「しばらく経ったらまたあんな感じに戻ったんだけどな」
 オレが苦笑するとつかさちゃんも両肩を窄めて笑った。
「私は香奈ちゃんにまた会えて嬉しいです、結構変わってましたけどね」
「でもすぐに分かったよね?」
 オレと知り合う前の香奈はどうだったかは知らないが、少なくともオレの学校に転校したての時と大して変わらないはずだ。
「分かりますよ、すごく憧れてましたから、」
 つかさちゃんが香奈と友達になった理由はオレと対して変わらなかった。
 幼稚園の頃に犬に咆えられて泣いていた所を助けてくれたのが縁で仲良くなり、それ以降一緒に遊ぶようになったと言う、
「私にとっては優しくてかっこいいお姉さんでした」
 まぁ一応あいつの性別もつかさちゃんと同じ『女』だからな、

 結局その後の進展も無く下校時間となりオレ達は校門を出た。
「どうしようかな……」
 オレは暗くなってきた空を見上げる、するとつかさちゃんは言って来た。
「先輩って子供の頃からゲームやってたんですよね? だったらいくつかゲーム持ってますか?」
「ん、ああ、押入れの中にしまってある」
「だったらどう言うのがあるのか調べてみたらどうですか?」
「あ、そうか。何でそんな事に気が付かなかったんだ?」
 なるほどな、過去の作品でお勉強、試験勉強なんかより気合いが入るぜ。
「でも、時間がかかるな……」
 自慢ではないがアナログゲームから最近機器のゲームソフトまで一通り揃ってる、全部始める訳じゃ無いとしてもオレ1人じゃ無理だな……
「私も手伝いますよ、レポート書いて提出します」
「そうか、じゃあ週末オレん家でやろう! 両親いないし、泊まりでもОKだ!」
「えっ?」
「あれ、これも話してなかったっけ? オレの両親とも単身赴任中で家を空けてるんだ」
 よって1人暮らしなのである程度徹夜で騒いでも大丈夫だった。
 つかさちゃんは何故か顔を赤くすると亀のように首を引っ込め、小柄な体を震わせながらオレに尋ねてきた。
「つ、つまり2人きりって事ですか?」
「何言ってんの、香奈も入れて3人だろ?」
「さ、3人っ?」
 つかさちゃんの声が裏返った。
 一体何考えてんだ? ゲームの話だろうに……
「それでどうするの? 来る? 来ない?」
「えっ、ええと……」
 つかさちゃんは目を泳がせると肩を窄めた。
「……わ、分かりました。不束者ですがよろしくお願いします」
 まるでどこかに嫁ぐかのようだった。こんなに堅苦しい性格だったっけ?
 まぁ準備しておく事に越したことは無い、テレビはリビングと俺の部屋に2台ある、オレは自分の部屋、つかさちゃんはリビング、香奈は携帯ゲーム機でもやらせとけば大丈夫だろ。

 そして週末、オレは香奈と供に昨日から家の掃除をしていた。
「そう言えばお前以外で女の子招待するの初めてだったな」
「そうね、卓や他の友達なら結構いたけどね」
 小学校から中学1年の冬くらいまでは友達呼んでゲームしてたっけな、親から高校受験の為に勉強しろって言われて一時期勉強した事もあった。
 でも時々こっそり引っ張り出してやってたけど……
「なぁ香奈、お前何でオレと同じ高校来たんだ?」
「えっ?」
 今更だが何でわざわざと思う、こいつの学力なら学費を援助してくれる私立の学校に入れただろうに、
「べ、別に…… 近かったからよ。家はお金が無いんだから察しなさいよ!」
「あ、そうか……」
 悪い事聞いちまったな、折角忘れてたのに……
「そろそろ来るんじゃない?」
「オレ迎えに行ってくるよ!」
 オレは家を出てチャリで駅に向った。
 駅に到着すると駐輪場にチャリを置いてホームの中へ向う、すると丁度改札口から出て来るつかさちゃんを発見した。
「あ、つかさちゃんっ!」
 オレは手を降るとつかさちゃんは肩をビクつかせてこっちを振り向いた。