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一緒にゲーム作りませんか?

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 その日の昼休みだった。
 オレはつかさちゃんに会いに1年の教室にやって来た。しかし後ろには怒りに目を吊り上げて憎しみの炎を滾らせた両腕を組みながら付いて来る者がいた。
 廊下にいた1年生達もあまりの恐ろしさに左右に反れて道を開けてオレ達が通り過ぎるのを待った。
「つかさちゃん、いるかな〜…… ああ、ちょっと君!」
「はい…… ヒィィっ?」
 オレは1組の教室から出てきた男子生徒を呼び止めるが、彼は後ろにいる香奈の形相に身を震わせて顔を青くした。
 ブルってる所すまないけど、オレはつかさちゃんを呼んで欲しいように頼むと彼は怯えながらコクコクと首だけを上下させて教室に入って行った。悪い事しちまったな……
 待つ事数秒、つかさちゃんが顔を出すとオレは後ろからのしかかる殺意に震えながら右手を上げた。
「あ、吉崎先ぱ……」
 つかさちゃんも後ろの香奈に気付いたようだ。今すぐ逃げろと言ってやりたい、
 何しろ今のこいつは原爆実験の影響で怪獣化した恐竜や宇宙から来た3つ首のドラゴンが戦いを辞めて土下座して謝るほど凶悪な存在と化していた。
「もしかして、香奈ちゃん?」
「はっ?」
 今の言葉に耳を疑う、『カナチャン』?
「あの、椎名香奈さんですか?」
「えっ? ええと……」
「椎名? いや、こいつ武藤って言うんだけど……」
「勇! ちょっと……」
 香奈は自分の胸に手を置いた。
「ほら、私の両親離婚してるから、椎名って言うのはお父さんの姓なのよ」
「あ、そう言えば……」
「えっと、どこかで会ったかしら?」
 香奈は顔を顰めるとつかさちゃんに尋ねた。
 するとつかさちゃんは微笑しながら言って来た。
「忘れちゃった? 私、麻紀つかさよ! いつも一緒に遊んでたじゃ無い」
「麻紀って、あのつかさちゃんなの?」
「お前、知り合いだったのか?」
「うん」
 香奈は頷いた。
 世の中ってのは意外と狭いもんだ。まさか2人が知り合いだったとは思わなかった。
「あれ、でもどうして香奈ちゃんと先輩が?」
「えっ、ああと…… その……」
 どうしよう、とりあえず会わせる約束はしたがこの後どうするかを考えてなかった。
「つかさちゃんが勇と一緒にゲームを作ってるって聞いたの。本当なの?」
「え、うん」
「それでコンテストに出るって聞いたんだけど……」
「コンテスト?」
「って、えっ?」
 2人は顔を曇らせてオレの方を見る。
「あ、しまった!」
 そう言えばコンテストの事をつかさちゃんには話すのを忘れていた。
 
 オレ達は場所を変えて中庭にやって来ると改めてコンテストの事を話した。
「ゴメン、すっかり忘れてた」
 オレはつかさちゃんに両手を合わせて頭を下げる、その横では香奈がため息を零すと口をへの字に曲げた。
「全くバカなんだから……」
「か、香奈ちゃん……」
 つかさちゃんは俺を庇ってくれる、
「で、つかさちゃんはどうするの?」
「え、何が?」
 それはもちろんコンテストの事だった。
 確かに彼女の意見は大事だ。するとつかさちゃんは少し考え込んで言って来た。
「まぁ、プロの会社から評価をしてもらうのもいい考えかもしれませんね」
「でもそう言ったのってかなり辛口評価なんじゃない?」
「先輩は出たいんですよね?」
「ん、ああ……」
 するとつかさちゃんはまた考え込むと…… 
「分かりました。一緒に頑張りましょう」
「えっ、いいのか?」
「はい、でもこれからそう言う事はちゃんと言ってくださいね?」
 つかさちゃんは少し眉を釣り上げた。少し怒ってるか……
「……すみません」
 俺は素直に謝る、言い訳はみっともないのでしない。
「……しょうがないわねぇ、私も協力してあげるわよ」
「はぁ? 何で?」
 オレが尋ねると香奈は目を泳がせて口を尖らせた。
「勘違いしないでよね。アンタの為じゃなくてつかさちゃんの為なんだから!」
 誰も何も言ってねぇよ、って言うか何でお前が出て来るんだ?
「だって入賞すればお金が入るんでしょう? アタシとつかさちゃんが4づつでアンタが2、それでいいわね?」
「オレの取り分たったの2かよ?」
 最終的に金じゃねぇか、
 そりゃもし賞金が入ったらオレが3でつかさちゃんが7にしようと思った事はあった。つかさちゃんはプログラム担当だし、シナリオも手伝ってくれたからそれは良い、彼女なら許せる。
 しかし香奈は後から入ってきていきなり仕切りやがった。だから話したくなかったんだ。そう思っているとつかさちゃんが会話に割って入ってきた。
「で、でも賞金はともかく協力してくれる人がいるなら大助かりですよ」
「つかさちゃんは素直でいい子よね、誰かさんと違って」
「その誰かさんってのは誰の事だ?」
 この中で素直じゃ無いのはお前だと思うのはオレだけか?
 つかさちゃんの肩に手を置いてオレには絶対に見せない笑みを浮かべならが言った香奈を見てオレは深くため息を零した。