一緒にゲーム作りませんか?
その後、オレは香奈の機嫌を取る為に全てを説明した。
「自作ゲームぅ?」
香奈は眉を細めた。
「アンタ授業中にそんな事してたの? 道理でノートが白紙な訳だわ……」
香奈は玄関で呆れた時よりかなり深いため息を零した。
すると来栖さんが言って来た。
「吉崎君ならきっと素敵なゲームを作れるわよ」
「こいつがぁ?」
まるっきりオレを信用してない目だった。香奈は両手を上げて首を左右に振った。
「無理無理、こいつゲーム以外何やらせても三日坊主だから」
実はオレは飽きっぽく上手くいかないとすぐに辞めてしまう(ゲーム以外)癖があった。朝顔だって面倒になってすぐに枯らしちまうし日記だってすぐに投げ出していた。
「そんなの、やってみなければ分からないじゃない」
来栖さんは少し目を釣り上げた。ムキになってる来栖さんなんて始めて見た。結構可愛い……
すると香奈は口をへの字に曲げると俺を見た。
「勇、アンタ本気なの?」
「何が?」
「ゲーム作りよ、アンタ本気でやるつもりなの?」
香奈の言いたい事は分かる、
かつての俺なら簡単に投げてただろう、だけど今回は違う、今回だけ諦めたくなかった。何せオレは……
「……オレ、止めたくない」
「えっ?」
「ゲーム作りだよ、オレは最後までやる…… 今更止める訳にも行かないんだ」
オレ1人の問題じゃ無いしな、
そう思っていると来栖さんもフォローしてくれた。
「香奈ちゃん、ここで止めたら一緒に作ってくれてる1年の子も迷惑がかかるのよ」
来栖さんの言葉に香奈はしばらく考えると肩を落として口を開いた。
「……そう、分かった」
「えっ、それって……」
「その代り約束しなさいよ、絶対半端なんてしないって……」
「ああ、そのつもりだよ」
オレは強く頷いた。
「でもその為には赤点取らないように頑張らないとね」
「あ……」
そう言えばそうだ。折角やる気を出しても赤点になったら意味は無い、
「吉崎君、一緒に頑張ろう」
来栖さんも応援してくれる、もうオレには恐れる物は無い、
「1点下がるにつき罰金100円とか?」
誰に払うんだ誰に?
「あ、それ良いかも、吉崎君もやる気出るんじゃない?」
「い、委員長っ?」
「冗談よ冗談」
来栖さんは舌の先を出して悪戯っぽく笑った。
「冗談きついよ」
って言うか来栖さんも冗談言うんだな、
人は見かけによらないものだ。大抵はオレの勝手な思い込みなんだけど……
「よぅし、頑張るぞぉ!」
来栖さん(ついでに香奈)が見守る中オレはやる気を出して勉強に没頭した。
分からない場所は2人が教えてくれた。正直勉強が楽しいと思ったのはこれが初めてだった。教師の話よりずっと面白いし頭に入った。
作品名:一緒にゲーム作りませんか? 作家名:kazuyuki