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 そしてオレ達の勉強会が始まった。
 敷かれた座布団に胡座をかいて静かな部屋でシャーペンの音だけが響く、だけどオレはちらりと右斜め45度視点を変えて来栖さんの顔を見る、
「………」
 やっぱり奇麗だ。
 学校では何か用事でもない限りは話す事はおろか近くにも寄らないのでこの状況を作ってくれた香奈に感謝するしかない、今度カレーパンでもおごってやるか…… と、思ったその時だった。
「……どうかしたの?」
 すると来栖さんがオレに気付いた。
「えっ? あ、いや……」
 ヤベッ、どうしよう、まさか見とれてたとは言えないし……
「もしかして分からないの? ちょっと見せて」
「え、う、うん……」
「ああ、ここはね……」 
 来栖さんは身を乗り出してオレに近づく、
 今来栖さんとオレの顔は数センチの差だった。顔が近いし凄くいい匂いがする、
「いいっ?」
 とてつもない殺気に気付いて振り向く、目線の先には香奈が鬼の様な形相でオレを睨んでいた。
 両肩が震え、右手に持つシャーペンを今にもへし折りそうな勢いだった。
「ふぅ……」
 すると香奈はため息を零すとシャーペンを置いて立ち上がった。
「ちょっと休憩しましょう、お茶煎れてくるわ」
 香奈はそう言うと襖を開けて廊下に出た。
「あ、そうそう勇……」
 香奈は一間置いて……
「聖子に少しでも変な事したら、ただじゃ済まないからね」
 香奈は笑顔だったがその裏には神ですら殺してしまいそうな殺意がこめられていた。
「は、はい……」
 オレの背筋に悪寒が走った。香奈が出ていくとオレはため息を零した。
「2人供仲が良いのね。」
 すると来栖さんがクスリと笑った。
「香奈ちゃんっていつもあんな感じなの?」
「……あんな感じな所じゃないよ」
 正直命が幾つあっても足りないくらいだ。
 あいつとは小学校からの付き合いだけど今まで生きて来れたのが不思議だと思ってる、
「いつも怒ってばかりだし、愚痴ばっかり零すし…… 正直あいつがオレを褒めた事なんか一度も無いんだよ」
「そうかな? 香奈ちゃんって吉崎君の事になると楽しそうよ」
「えっ?」
 オレの事になると?
 来栖さんが言うには香奈は友人達の会話の中で良くオレを話題にする事が多いと言う、
「大抵は『あの馬鹿』とか『役立たず』とか『ゲームオタク』とか…… ってあれ?」
 オレはショックを受けて畳に手を付いていた。оrz……
 そりゃ否定しないが来栖さんに言われるとかなりへこむ、いくら香奈が発生源と言えどもまさに痛恨の一撃だ。即死効果も付属してる、
「でも凄く良い事も言ってるよ。吉崎君のおかげで笑えるようになったって言ってたわ」
 香奈は来栖さんにオレと知り合った時の事も話したらしい、