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 だがその翌日だった。
「とっとと起きろ、このバカっ!」
「うおっ?」
 耳を劈く罵声に驚いてオレは飛び起きた。
 半分寝ぼけた頭で辺りを見回すと横には赤と白のストライプのノースリーブのシャツとショートパンツに黒いニーソックス姿の香奈が腕を組んでいた。
「いつまで寝てんのよ、今日勉強するって言ってたでしょうが!」
「えっ?」
 オレは慌てて時計を見ると約束の時間を十分も過ぎていた。
 何しろ昨晩は今日の事を考えて眠れなかった。少なくとも2時は回ってたと思うけど何時意識が無くなったのかは分からない、
 香奈は時間になっても来ないから様子を見に来たんだろう、来栖さんはもう来てるのか?
「とっくの昔に来て先に始めてるわよ、それより早くしなさいよ、朝食も用意してあるんだから!」
 そう言うと香奈は部屋を出ていって扉を乱暴に閉めた。
「こうしちゃいられない!」
 オレは慌ててパジャマを脱ぎ捨ててクローゼットからジーンズと半袖のYシャツを取り出して着替えるとノートと参考書と筆記用具を持って下に降りた。
 テーブルの上に用意してあったハムエッグをトーストの上に置いて2段に重ねてかぶりつき、コーヒーメーカーのコーヒーをマグカップに注いで一気に飲み干した。
 洗面所に向うと顔を洗って寝癖を直して歯を磨くと香奈の家へ向かった。

 オレの家の斜向かいの歩いて5秒の2階建ての木造建築、ここが香奈の家だ。呼び鈴を押して数秒待つと香奈が出てきた。
「やっと来たわね」
 香奈は呆れてた。そりゃそうだな……
「ホラ、さっさと上がんなさいよ」
「あ、ああ」
 オレは素直に頷くと敷居を跨いで玄関で靴を脱いだ。
 香奈の部屋で3人は狭いので勉強会は広間で行われてるらしい、来栖さんもそこにいると言う、
「そう言えば婆ちゃんは?」
「何言ってんのよ、3日前から旅行に行ってるって言ったじゃない」
「えっ? あ、そう言えば……」
「アンタって本当に人の話を聞かないわね……」
 香奈は両手を上げて首を横に振った。
 と言うか最近ゲーム作り以外はボーっとしている事が多かったから聞き逃してたんだろう、
「お待たせ」
 広間の扉を開けるとそこには私服姿の来栖さんがいた。
 青いワンピースに上から白く薄いカーディガンを羽織ったどこかのお嬢様(現実そうだが)を思わせるその姿にオレは目を奪われてしまった。
「吉崎君、いらっしゃい」
 来栖さんは笑顔で受け入れてくれた。
 オレは頭を掻きながら謝った。
「ゴメン、寝坊した」
「いいのよ、実は私も朝は弱いの」
 おおっ、何て心の優しい人だ。つかさちゃんが妖精なら彼女は大空のような心を持った女神様だ。
「早く座んなさいよ、時間がもったいないでしょう!」
 そしてこいつは悪魔だ。