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ACT ARME1

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「いやいや、思いっきり虚実だし。あそこに倒れているのは全員気絶してるだけだから。誰一人としてこの手に掛けてないんだけど。」
「その刀で斬り伏せておきながら誰一人殺していないか。とんだ茶番だな。」
「ああ、この刀刃引きしてもらってるんだよね。ツェルに。だから今はどちらかというと打撃武器に近いよね。さらに付け加えると、この刃引きはちょっと特殊で、僕の孔に反応していつでも切れるようになるという優れモノ。非売品だからどこ探しても見つかんないよ。」
「この程度の特殊コーティングなら、僕程度ならいくらでもできますよ。」
「いや〜、いつもナルシーがかっててめんどいけど、こういうのは本当に頼りになるよね。」
「何か言いましたか?」
「いいえ何も。」
「あれだけの数を相手にしておきながら、だれ一人殺していないだと?そちらの男は・・・」
「オレも殺ってねえよ。オレが力入れたら腹に穴が開くか頭が飛ぶ。」
ここの兵士は軽く手加減しながら相手ができるほど弱いものではない。それは作った本人であるゴーダツがよくわかっている。ましてやたった二人で、百にものぼる戦力を殲滅させた?一人の死者も出さずに?
「貴様ら・・・・」
「いくら僕らでも簡単に人殺しなんてできないからね。で?どすんの?」
もう何度目かわからないほどゴーダツ頭を下げる。だがそれでも決然と吠える。
「それでも貴様らはこのアンビシャンには勝てん!絶対にだ!!」
そして攻撃を開始する。明らかにさっきまでより攻撃が激しい。
「成程。全能力の1%も使ってないという言葉はあながち世迷言ではなかったようですね。」
「のんきに解説してないで手伝ってくれないかなあ?」
思い通りにいかずに若干いらだつルイン。
「何を意味不明なことを。僕に戦闘能力がないことなど、百も承知でしょうに。それに、この程度で負けるほどあなたたちは弱くないでしょう?」
「ええそうですね!まったく。」
事実、こんな掛け合いを演じながらもルインは勝機を探っていた。そしてそれを確実に見つけ
(そこか!)
確実につかむ。
「いくら装甲が固かろうと、メカというものには継ぎ目があるんだよね!」
そして振り下ろされた攻撃をかいくぐり、腕の下に潜り込む。そこから一気にハイジャンプで斬り上げた。
「照閃(じょうせん)!!」
関節部に命中した斬撃は、過たずアンビシャンの腕を切り落とした。
「何ィぃぃぃぃぃい!!!??バカな!?ハマテチラニックスの装甲が切断されるだと!?」
「なに驚いてんの。まだ終わってないよ。」
そう警告し、今度は足の関節部にまっすぐ突っ込むような技を放つ。
「突閃(とっせん)!!」
片足を切り落とされたアンビシャンはバランスを崩し、その場に倒れこむ。
「バカな!そんなバカな!!」
「あとはグロウ、よろしく。」
「おう。悪ぃがぶち抜かせてもらうぜ?」
そしてグロウはアンビシャンが倒れたことにより、目の前にあるコックピットの前に仁王立ちし、ハンマーを構えた。
「バカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカな!!!」
「ホームラン・・・!」
「バぁあカぁああなぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
「ハンマァーーーーー!!!」
グロウの放つ強力な一撃が、コックピットにクリーンヒットした。シールドが破壊され、パイロットもろとも吹き飛ばされる。
「やっぱり、コックピットは胴体に搭載するべきだったね。」
宙高く放り上げられたゴーダツを見たルインが、素直な感想を漏らした。
もうもうと上がっていた煙幕がやっとおさまり、視界が明けると、床に力なく投げだされている人影が見えた。
「シールドに守られているとはいえ、やっぱダメージは受けてるみたいだね。」
「コックピットごとぶち抜いたからな。当然だろう。」
「全身くまなく打撲・骨折してますね。これは動くことすらままならないでしょう。」
「死ぬ危険は?」
「すぐに手当てすれば命に別条はないかと。」
「ツェル、じゃあちょっと応急処置しといて。僕はこいつに話がある。」
口調こそ先ほどと変わらず軽いものだが、先ほどまでにはない重さがある。それを感じ取ったツェリライは素直に了承する。
「さて、お前、しゃべることはできる?てか、起きてる?」
その言葉に反応を示す。それを見たルイン話を続ける。
「うん、起きているならいいや。あのさ、さっきお前『ここが沈んだら研究開発どころではなくなる』って言っていたよね。」
相手は無反応だがルインは構わず話を続ける。
「それってつまり、ここの部下はどうなろうと知ったこっちゃないということでおk?」
相変わらず相手は無反応のままだ。だがそれでもわかる。今にも失禁しかねないほど怯えていることに。
「そういや、さっき最初にオレらの相手をしていた幹部がいたな。社長に捨てられたとか何とか喚いてたから、鳩尾に入れて落としておいたが。」
「ふ〜ん。それはいいことを聞いた。僕はそういう自我のために関係者だろうとなかろうと踏みつぶせる屑が大嫌いなんだよね。今回はそんなざまだから見逃すけど・・・」
ここで一呼吸入れ、睨みを利かせながら言い放つ。
「次はない。そう覚えておくと長生きできると思うよ。」
半分死刑宣告を言い放たれた被告人は震えながら微かにうなずいた。
息が詰まる緊迫感の中、ツェリライ軽く話を切り出す。
「あ、大丈夫ですよルインさん。この男はどちらにせよ次はありませんから。」
「え?なんで?」
「つい先ほど治安部隊に通報しましたから。」
「え゛っ!!?いつ!?」
「ルインさんたちが戦闘を始めた時、すなわちこの男の有罪が確定したときですね。」
「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!?やばいじゃんそれ!!早くずらからないと!てか、なんで通報なんてしたんだよ!?」
先ほどまでと打って変わっておたおたと慌てだすルインを見て、ツェリライが冷静に突っ込む。
「何を言っているんですか。これだけ派手に暴れて、しらばっくれるなんてことができると思っているんですか?
それに、しっかりとこの企業の悪行を報告し、あなたのアパートの大家さんが誘拐され、僕たちがここに入り込んだいきさつも、一部を改変して伝えてあります。
勝手な行動を起こしたことはお捻りがくるでしょうが、そこまで大きな罰則はないと思いますよ。正当防衛の面が大きいですし。」
「その改変した一部である身分詐称についてはどう誤魔化すつもり?」
「すでにあれは破棄してあります。突っ込んで聞かれてもとことんとぼけますよ。」
「おお、それもそうだね!」
と早速偽装身分証を刀で切り刻むルイン。ほっと一息ついた後、元気良く宣言する。
「よし、これで問題ないね。それじゃ、囚われた人たちを救いに行きますか。」
そして、それから十数分後。治安部隊も到着し、ぼろぼろになっているゴーダツ以下地下施設の存在を知っていたものは連行されていった。
何も知らない地上の社員はいきなり治安部隊の団体様が押し寄せてきたあげく、地下施設の存在を知ったあげく、さらにはその施設の存在理由まで知り、驚天動地の嵐だったそうで、なかには驚きのあまり顎が外れた人もいたんだとか。
そして、大家さんをはじめとする囚われていた被害者も無事解放・保護された。
作品名:ACT ARME1 作家名:平内 丈