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天の卵~神さまのくれた赤ん坊~【後編】Ⅲ

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 直輝の指は有喜菜の秘所の奥深くまで侵入し、繊細に入り組んだ内奥の襞をかき分けるようにさんざん弄び、彼女は翻弄されまくった。それなのに、その場所に溜まった熱はかき消えるどころか、かえって指の愛撫を受ける前より高まっている。
 自分の欲望はどこまでいっても果てることを知らないのかと思うと、自分の淫乱さが怖ろしい。
「次は? 何をどうして欲しい?」
 執拗な声はいっそう艶めいて有喜菜の胎内の熱を上昇させる。耳の端をまた囓られ、舌を這わされ、そのまま耳の後ろに舌は這った。そこに歯を立てられ、やわらかい肉を咬まれる。
 そんな刺激の一つ一つに有喜菜は追い立てられ、その度に、下半身のうずきは烈しく、より強いものになってゆく。
「どうして欲しいんだ? 言ってごらん」
 直輝は意地悪だ。有喜菜がどうして欲しいか嫌になるくらい判っているくせに、わざとこんな訊き方をして焦らしている。
「さあ、応えて」
 直輝の手に秘所を撫で上げられ、有喜菜はビクリと身体を跳ねさせた。
「あなたの指を―」
「指を? どうするの?」
「―入れて欲しいの」
 とうとう最後まで言わされ、恥ずかしさに涙ぐむと、直輝がクスリと笑った。
「最初から素直に言えば良いのに」
 ふわりと身体が浮いたかと思うと、また軽々と両手で抱き上げられ、再び向き合う形で彼の上に座らされた。
「良い眺めだ」
 彼の呟きに、有喜菜は思わず頬を上気させる。両脚は今、これ以上はないというほど開かされ、彼の眼前に秘所がすべて晒される形なのだ。
「いやっ」
 無意識の中に上げた悲鳴は直輝を抑制するどころか、かえって煽ってしまった。
「恥ずかしがらないで、君は俺の子どもを生むんだ。今更、恥ずかしがる必要なんてない」
 言い終わらない中に、直輝は猛り立った彼自身をひと突きして有喜菜の中に入ってきた。
「ああっ」
 あまりの衝撃に意識が弾け、眼の前が白くなった。最奥まで深々と刺し貫かれ、有喜菜は苦悶に近い快感に喘ぐ。まるで大きな焔に身体ごとすっぽりと飲み込まれ、灼き尽くされていくような、この感覚。
 こんな快さを、自分は今まで知らなかった。
 ふいに直輝が唇を塞ぎ、腰を動かし始めた。下から烈しく突き上げ、揺さぶられながら、淫らに舌を絡ませ合う口づけは延々と続く。時には舌を強く吸い上げられ、咬まれる。
 上からも下からも妖しい水音が響き渡り、それは有喜菜の耳にさえ何とも淫猥に聞こえた。いつしか直輝自身から滲み出た液と有喜菜の内奥から溢れ出てくる蜜液とが混じり合い、ピチャピチャと音を立てている。二人が繋がった部分は互いから溢れ出てくる液にまみれ、しとどに濡れていた。
 達したばかりの有喜菜の内奥は歓んで直輝の剛直を受け容れ、締め上げる。
「くっ、有喜菜。そんなに締め上げたら、俺の方が保たない―」
 直輝が呟き終わらない中に、有喜菜の瞼で極彩色の光が舞い踊った。一度目のときとは比べものにならないほどの大きな絶頂の波が訪れ、有喜菜は自分が官能の焔に灼き尽くされるのを自覚した。
 直輝が出ていってからも、有喜菜の内奥はまだ小刻みに痙攣を繰り返していた。みっちりと埋まっていた肉筒が急に虚ろになったようなもどかしさと物足りなさがある。
 直輝は屈み込んで、チュッと音を立てて有喜菜の乳房にキスした。彼女の波打つ乳房を舐め、舌で転がしながら、手は大きく膨らんだ腹部を愛おしげに撫でている。
「ここに俺の子がいるんだな。俺と―」
 そこまで言い、直輝がハッとした表情になった。普通、こういう場合は〝俺と君の子ども〟と続くのだろうが、二人の場合はそれは当てはまらない。この膨らんだ腹にいる赤ん坊は有喜菜の子ではなく、紗英子と直輝の子どもなのだから。
 有喜菜は身体を投げ出し、息を弾ませながらも言った。まだ身体は達したばかりの余韻にどっぷりと浸かっていて、身動きすらできない。
「良いの、気にしないで」
「―ごめんな」
 直輝は呟き、再び有喜菜の身体に挑むように愛撫を仕掛けてくる。
 膨らんだ乳房を銜え音を立てて吸い上げ、時には先端を舌で弾き、時には乳暈ごと強く吸う。その合間には、空いた方の乳房をこね、揉みほぐした。両方の乳房は執拗な愛撫を受けているものの、その受ける感覚はそれぞれ違う。直輝は交互の乳房を吸っては揉みを繰り返したが、しまいには濡れてすっかり敏感になってしまった乳首は、空気に晒されただけですら、感じるようになった。
「どう、気持ち良い?」
 間近に直輝の整った顔が迫っている。
 有喜菜はまともに彼と見つめ合い、頬を赤らめた。
「直輝ったら、もう、そんなことばかり私に言わせようとしないで」
「良いじゃないか。気持ち良かったら、気持ち良いと言ってくれた方が俺は嬉しいんだから」
「それはそうかもしれないけど、私はやっぱり、いや。恥ずかしいもの」
 その返答に、直輝が形の良い眉をはね上げた。
「君がこんな恥ずかしがり屋だとは知らなかった。もっと大胆な子かと思っていたよ」
 少しの沈黙の後、彼は吐息をついた。
 先刻までの情熱的な光は消え、あたかも遠くを見るようなはるかなまなざしに、有喜菜は胸が切なくなった。
「何を考えているの?」
 もしかして、私とこうなったことを後悔しているの?
 そう言いたい衝動をぐっと堪え、有喜菜は唇を噛みしめる。
 直輝はまた小さな吐息をついた。有喜菜の身体をそっと押し、ベッドに横たえる。両腕を有喜菜の顔の両脇につき、有喜菜は彼の逞しい腕に囚われた形になる。
 いいえ、神さま、私はこの男(ひと)になら、永遠に囚われたままでも構いはしません。
 有喜菜はこの時、悟った。最初は紗英子への復讐から始まったこの罠に、実は当の仕掛けた有喜菜自身も足を取られてしまったことに。
 やはり、昔と変わらず、有喜菜は直輝を愛していた。復讐、昔、自分から彼を奪った女に一矢報いてやるつもりで始めた計画は、今や彼女自身を責め苛もうとしている。
 直輝は静かな声音で言った。
「思えば、俺たちは最も近い存在でありながら、お互いのことを何も知ろうとしなかったな」
 その口調には深い悔恨が込められているようにも、喪った、はるかな昔を悼み、懐かしんでいるようにも見える。
 その刹那、有喜菜はまたしても口走ろうとして、抑えた。
―それは、私のせいじゃない。あなたが本当の私を見ようとしなかっただけじゃない。
 今更、彼を責めたところで、喪われた過去―青春時代を取り戻せるわけではない。ただ、お互いに空しくなるだけだ。
 今は、このささやかな幸福に浸っていたい。たとえこの先、直輝とまた別れることになっても、今は彼と同じ時間を分かち合えることに感謝したい。
 おかしなものだと自分でも思った。当初の計画では、直輝を紗英子から奪えれば、それで十分だと考えていたのに、今の自分はもっと先を望んでいる。
 直輝と共に歩く未来を、ずっと変わらず大好きだった男とずっと一緒にいられることを夢見ている。