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天の卵~神さまのくれた赤ん坊~【後編】Ⅲ

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 有喜菜が小首を傾げるのに、直輝はナイトテーブルから筆のようなものを持ってきた。
「何だか面白いものがあったから、持ってきたよ」
「それって、筆なの?」
 眼を見開くと、直輝は〝そう〟と頷く。
「あそこの箱の中に色々と面白いものが揃えてあるみたいだけど、有喜菜は妊娠中だし、あんまり妙なものを使ってもまずいかなと思って」
 これくらいなら、いけるかな?
 直輝は意味不明のことを言い、有喜菜に近づくと、いきなりベッドに押し倒した。
「何をするの?」
 あまりに突然のことに、有喜菜は悲鳴のような声を上げてしまった。
「ちょっと我慢して」
 直輝は有喜菜に覆い被さり、筆で身体の隅々をくすぐり始めた。
「やっ、やだ」
 有喜菜の白い膚の上を筆が掠めるようにして通り過ぎてゆく。
「あっ、ああっ」
 有喜菜はあまりのくすぐったさに身体をくねらせ、捩った。
「やっぱり、感じやすい身体だ」
 直輝は恍惚(うつと)りと呟く。さんざん有喜菜を悶えさせ、息も絶え絶えにさせてから、漸く筆責めから解放してくれた。
「やだ、直輝って、こういう趣味があったの?」
 身を起こした有喜菜が涙ぐんで睨むのに、直輝は声を立てて笑う。
「まさか。でも、一度、やってみたかったんだよ。まずいな、これは病みつきになりそうだ」
 などと平然とうそぶいている。
「くすぐられて我慢できないなんて、まるで子どもみたいじゃないか」
「酷いわ」
 本当に涙が出てきて、プイとそっぽを向くと、直輝が機嫌を取るように有喜菜を後ろからそっと抱きしめる。
「でも、身体は十分すぎるくらい大人だよ」
「直輝の意地悪」
 有喜菜は拗ねた口調で言い、また横を向く。
 そこでハッと我に返った。
「ちょっと待って」
 服を脱がされたものの、首にはネックレスを掛けたままだったのを思い出したのだ。今日は少しドレッシーなワンピースだったので、ネックレスもジルコニアがシルバーチェーンにたくさんついた煌びやかなタイプのものを選んだ。チェーンに小さな滴型のジルコニアが無数に付いているので、見た目はきらきらと光って、まるで露の滴を身に纏っているようである。
「ネックレスを外すのを忘れていたわ」
 と、直輝が悪戯っぽく笑った。
「何も身に纏わず、ネックレスだけをつけた君は凄くゴージャスに見える。だから、外さない方が良い。これを素肌に付けて俺に抱かれて乱れる君を見てみたい」
「嫌らしいことを言うのね、直輝は」
 有喜菜は頬を染めた。
「君がこんなに恥ずかしがり屋だとは思わなかったよ」
「ね、それよりも、私にもさせて」
 これでは有喜菜の方ばかり煽られてばかりのようで、不公平だ。有喜菜の持ち前の負けん気がむくむくと頭をもたげてくる。
「それじゃ、有喜菜のお手並み拝見といこうか」
「いやあね、お手並み拝見だなんて」
 有喜菜は苦笑し、直輝に服を脱いでベッドに座るように言った。
 直輝は手早く服を脱いで床に放り投げてゆく。広い肩から平らなお腹、形の良い尻、すべてが中年を感じさせないほど引き締まった体躯だ。紗英子から聞いた話では、週に一回、近隣の子どもたちを集めてサッカー教室を開いているというから、普段からスポーツで鍛えているのだろう。
 直輝が両脚を前に投げ出して座る。有喜菜は彼の脚を挟むようにしてその上に座り、そっと身をかがめた。
 大きくなったお腹が少し窮屈だが、まだつかえるというほどではない。彼女は直輝の両脚の間を見つめた。見つめられ、ただでさえ屹立している彼自身がいっそうそそり立った。
 有喜菜は更に身を低くし、そっと彼自身を口に含む。隆とそそり立つ竿をまずはゆっくりと舐め上げる。舌で撫でるように、愛撫するように舐めていると、やがて、それは更に硬度を増していった。
 竿を舐めた後は、丸々とした実をまた丹念に舐め、すっぽりと口に含む。
「―ッ」
 有喜菜が実を含んだまま少し強く吸い上げると、直輝の口から低いうめき声が洩れ、腰がわずかに浮いた。
 有喜菜は一旦口を放し、今度は竿の浮き出た血管や筋に舌を這わせた。更に唇は上に行き、再び亀頭のくびれを舐め始める。
 やがて、実の先端からはジュクジュクと先走りの液が滲み始めた。どこか苦くて酸味のある味は美味しいものではないけれど、好きな男の身体の一部だと思えば、何ということはない。
 更に実を口に含んで強く吸い上げ続けている中に、直輝の息が荒くなり、有喜菜の口の中で熱いものが弾けた。精液独特の味が口中にひろがる。以前、結婚していた夫に求められフェラチオしたときは、この生臭い味が嫌で堪らず口の中で出されて、嘔吐したことも一度や二度ではなかった。
 だが、好きな男には自分からやってあげたいと思うし、口の中で出されても少しも嫌だと思わない。
 今、有喜菜は初めての体験に、自らも興奮していた。
 やがて、男がビュクビュクとすべての液を出し切った後、有喜菜はそれをすべて飲み下した。
「君、凄いな」
 しばらくして、直輝がまだ荒い息を吐きながら言った。
「そう? 直輝が満足してくれたのなら、良かった」
 好きな相手であれば、とことん感じさせてあげたいし、自分もまた感じてみたい。それは有喜菜が初めて味わう想いであった。
「あまりに気持ち良すぎて、失神するかと思ったよ。今度は俺の番だな」
 そのときの有喜菜は珊瑚色の唇が直輝の放った液で濡れて光っていた。わずかに唇の端からその名残が滴っているのがまた何とも淫猥でそそる眺めである。むろん、彼女は自分では気づいていない。
「今の君、堪らないくらい素敵だよ」
 直輝は堪りかねたように言い、有喜菜の身体を抱えて後ろ向きに座らせた。これで有喜菜は彼に背を向けて跨っている格好になる。
「―あっ」
 有喜菜の華奢な肢体がピクンと撥ねた。いきなり背後から秘所に指を挿入されたのだ。
「これはどう?」
 最初は一本だった指は徐々に二本、三本に増やされる。
「あぁ」
 有喜菜はあられもない声を上げながら、身をくねらせるしかない。長い間、男を受け容れていなかった身体は快感には不慣れだった。隘路を三本の指で抜き差しされ、有喜菜はあまりの快感にもんどり打つ。
 突如として、奥の感じやすい部分をこすられ、有喜菜はひときわ高い嬌声を放った。
「あ―、あうっ、ああっ」
 直輝の含み笑う声が耳朶に吹きかけられる。
「有喜菜はここが感じやすいんだ?」
 直輝の愛撫は執拗で的確だった。有喜菜が反応を示した場所を見つけると、そこを集中的に責め立ててくる。
「あっ、私、もう―」
 駄目とすら言えずに、有喜菜は切ない声を上げた。
「このままじゃ、狂っちゃう」
「狂っちまえよ。達きたいなら、このまま達けば良い」
 耳許で囁かれたその瞬間、有喜菜の全身を烈しい快感が貫いた。まるで雷土(いかづち)に全身を灼かれるような鋭い感覚に見舞われ、有喜菜は身体を小刻みに痙攣させながら初めての絶頂に達した。
「この程度で狂っていたら、身が保たないぞ?」
 直輝は笑いながら言う。
 ふいに耳を噛まれた。きゅっと歯を立てられたことに生まれた痛みが、淡い茂みに隠された自分の秘めた花に宿る欲望をいっそう煽った。そのことに、有喜菜は愕く。