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わて犯人

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第二十話 脱出



「お前たち、そんなに長々と話している暇はないぞ。早くここから逃げなければ」
トムが話そうとしたとき、ジョンから横槍が入った。

「すいません。懐かしかったので、つい入り込んでしまって」
「おいおい、いいところで邪魔するなよ~。話はこれからじゃねぇかよ。で、その続きは?」
「簡潔に言うと、ブーミンとは出会い系サイトを使って再会することになりました。会いたくて会ったわけじゃないんですけどね。そこから紆余曲折を経て、今の僕に至っています。それもこれもすべてブーミンのおかげなんですよ」
「ほうほう。じゃあ、その続きはまた今度詳しく聞かせてくれ」
「いいですよ。そんなことより、なぜブーミンがウクライナの牢屋の中に?」
「あんたを助けるためでごわす」
「なんで僕を?」
「正確に言うと、あんたたち、でごわす。」
「じゃあ、なぜ僕たちを助けに?」」
「それが緊急事態なんでごわす。説明は後にして、とりあえずここから出るでごわす。」
「でも、どうやってここから・・・?」
「心配無用でごわす!」

ブーミンはそう言うと、柵の間を通り抜けて牢屋から出た。
そして、自慢の怪力で二人の看守を力でねじ伏せ、牢屋のカギを奪った。
「さすがブーミン! 早く開けてくれ!」
「了解でごわす」

カギの穴は背丈の小さいブーミンが背伸びをしても決して届かない高い位置にあったものの、ブーミンは伸びて動けなくなった看守をハシゴ代わりにうまく利用し、カギの穴までスルスルと上っていき、牢屋のカギを開けた。

「さあ、逃げるぞ!」
ブーミンを先頭に、トム、マインが続いて刑務所から逃亡に成功した。
少し遅れてジョンが逃げてきた。
「何してたんだ?」
マインがジョンに尋ねた。
「ちょっとした置き土産だ。」

その時、鼓膜の裂けるような爆音が轟くと同時に、刑務所は一瞬のうちに炎に包まれた。
暗闇の中で燃える刑務所は、雪降るウクライナの地で輝いていた。

作品名:わて犯人 作家名:熊田熊子