わて犯人
第十八話 開演
「グギャァアアアアアアアア!!!・・・・・・・・・・・・。」
マインたちが応戦しようとしたその時、それまで大暴れしていた熊左衛門はまるで電源が切れたようにピクリとも動かなくなった。
「あれ?・・・。どうなったんですか?」
それまでのやる気とは打って変わって、トムは拍子抜けしていた。
マインとジョンも状況が呑み込めていないようだった。
すると、ビルの入口から人が出てきた。
「やはり、試作段階だと副作用が出るみたいだな。まだまだ研究が必要か・・・。」
その人物はそう言いながら、三人にゆっくりと近づいて行った。
「おっ、お前は!?」
トムが驚いて声を上げた。
三人の目の前にはフジモトムがいた。
フジモトムは、ラーメンのスープのシミがついて薄汚れた白衣を身にまとっていた。
「またお前らか。しつこい輩だな・・・。俺に何の用があるんだよ。」
「今更しらばっくれたって無駄だぞ! お前がすべての事件を裏で操っていた黒幕だろ!」
「ハッハッハッ、笑わせてくれるじゃないか。そんな推理をしているようじゃ、警察失格だな」
「なんだと!」
トムは拳を強く握りしめていた。
「落ち着け、トム。こんな奴の言うことなんか聞き流しとけ。」
「・・・・・わかりました。」
辺りはすっかり暗くなっていた。
「じゃあ、俺はそろそろ研究室に戻るとするか。」
「おい、ちょっと待てよ! まだ話の途中だ!」
「そうか。だが、お前らに俺と話す余裕があるかな?」
その時、パトカーのサイレンらしき音が遠くから聞こえてきた。
その音が徐々に近づいてきていることに三人はすぐに気付いた。
「どっ、どういうことだ!?」
「警察に通報させてもらった。」
「俺たちが何をしたっていうんだよ!?」
「罪名を挙げるとすれば、わいせつ物陳列罪、だろうな。せいぜい、ウクライナの夜を楽しんでいってくれ」
そう言うと、フジモトムは再びビルに入って行った。
「あっ!!! とりあえず、お二人は早くパンツをはいてください! 僕も早く着替えなきゃ・・・・・!!」
しかし、時すでに遅し。
三人は、パトカーではなくホッキョクグマに乗ったウクライナの警察官に包囲されていた。
「みなさん、どうします!?」
トムは明らかにテンパってた。
「ショータイムのはじまりだな」
マインとジョンは声をそろえてそう言った。。