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わて犯人

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第十三話 形勢逆転


マイン、トム、ジョン、ケイティの4人は、ソファに座った。東MAXはそのソファの傍らに寝そべった。
一方、熊子は机を挟んで向かいのソファに座った。
「みなさん、そんな怖い顔してどうしはったんどすかー?」
「単刀直入に聞こう。フジモトムの居場所はどこだ?」
マインが真剣な目をして尋ねた。
「そんなこと教えられまへんわ~」
「もう一度聞く。フジモトムの居場所はどこだ?」
「何回聞かれても教えまへんどす~」
「なら、仕方ない。こういうことはしたくないんだがな・・・。ジョン、頼んだ。」
「理解した。」
すると、ジョンはジャケットの内側から散弾銃を取り出した。
「もし、フジモトムの居場所を言わないのなら、お前にはここで死んでもらう。では、これが最後だ。フジモトムはどこにいる!」
マインの三度目の質問にも、熊子は答えなかった。熊子は死を覚悟しているようだった。
「わては、10年の間、このキャバレーで働いてきたどす。このキャバレーには、わての楽しい思い出や、つらい思い出がたくさん詰まっとるどす。まさに、AKUMAがわての生きがいでした。そんなところで死ねるなら、本望どす!」
そう言った熊子の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「では、死んでもらおう。頼んだ、ジョン。」
「理解した。」
そういって、ジョンは引き金に指をかけ、熊子に照準を合わせた。

するとその時、ジョンの前に誰かが飛び込んできた。
トムだった。トムは机の上に立ちはだかった。

「だめです!熊子さんを撃ってはいけません!彼女は悪いことは何もしてないじゃないですか!彼女が可哀想です!」
「邪魔だ、どけ。」
「いやです!撃つなら僕・・・いや、ケイティさんを撃ってください!」
「おいおいおいおい。お前は何を言ってるんだよ。おれは仲間じぇねぇか。冗談はよせよ。」
「お願いです!熊子さんだけは・・・・・・うわぁっ!! だれだっ!?」

なんと、トムが熊子に捕らえられてしまった。

「トムはん、ほんまにバカどすね~。敵に隙を見せたらあきまへん。これ、基本どす。」
トムは熊子の締め付けによりあっという間に失神してしまった。

それもそのはず、
この時の熊子の握力 3万kg!!背筋力 5万kg!!

「とりあえずその銃をこっちに渡すどす。
ほんで服をぬいでその場に伏せろどす。」

ジョンは彼女の言うことに従わずケイティを撃った。
ケイティは即死。

「ちっやむを得ない犠牲だ。ケイティ。ありがとう。」
マインはそう言うと、一瞬隙を見せた熊子の耳元に
唾を飛ばした。

「うぐぁぁああぁっぁぁぁあぁあぁぁっぁぁぁ
気持ち悪いどすーーーーーー。嫌どすーーーーーー。」

ドゴォォォーーン

「なんだ?気持ち悪さのあまり爆発したのか?」
そんなマインの言葉を遮るようにどこからか声がした。
「お前らか?おれのことを嗅ぎ回ってるって輩は」
「ってこたぁお前がフジモトムか?」
「いかにも。」
「ほうほう。んで、わざわざ捕まりにきたのか?」
「んなわけないだろ。邪魔者の熊子を消しにきたんだよ。」

そう。さっきの爆発はフジモトムの仕業だったのだ。

「もののついでだ。お前らに俺の仲間を一人紹介してやろう。」

そういうとフジモトムはその仲間の名を呼んだ。

「おい、ケイティ…ってあれ、死んでるー」
フジモトムは目を丸くして驚いていた。
「ああすまん、さっき殺した。共犯だったのか。」

「おいおいどうしてくれるんだよ、これからケイティの犯行の動機とか夫妻の殺害方法とか出生の秘密とか隠された性癖が明らかになる展開だったのに!」
「すまんな」
「ったく雑魚豚め、役立たず過ぎだろ」
「ほんまそれな。めっちゃわかるわ」
「ちっ、今日は退勤時間だから帰らせてもらうぜ、命拾いしたな。」
そう言うとフジモトムは帰って行った。

「クソ!完全にしてやられた!これで完全に進路が絶たれてしまった。」

「ううっ…熊子さん。こんなのってないよ…」
トムは全身黒焦げになってしまった熊子を抱きかかえて泣いていた。

「ぐ…ぐぐ…トム…はん…」
「…熊子さん!!まだ生きて―」
「わてはもうダメどす…。どうやらわてはフジモトムはんに利用されていただけみたいどすね…とんだおまぬけさんどすわ…笑っておくれやす。」
「熊子さん、もう喋らなくていい!」
「これを…受け取っておくれやす」
熊子は口内から一枚の紙を取り出した。
「これは…フジモトムの住所が書かれた地図!?」
「わてにできるのは…これくらいどすわ…。トムはん…トムはんがわてをかばってくれたとき…わて本当に嬉しかったんどすえ…。わてがもし…今度人間に生まれ変わったら、わてと結婚しておくれやす…」
「わかった!わかったから、熊子さん!死ぬな!」
「トムはん…わては今ごっつう安らかな気分どす…きっとこれが…愛なんどすね…トムはん…あんさんに出会えて本当によかったどす…ほな、さいなら…」
「熊子さん!?熊子さぁあああああああん!!!!!!!!!」

熊子は笑顔で、その短い生涯を終えた。
作品名:わて犯人 作家名:熊田熊子