わて犯人
第十二話 私の恋はらっきょ味
「安らかに眠りな…ダイソン」
「でも、ダイソンを倒せたのはよかったですが結局フジモトムの居場所はわからないままですね。」
「ふむ、奴は自分のことは本当に信頼している動物にしか話さない。獰猛で…そして高度な知識を持ち合わせた動物にな。」
トムは腕組みをしながら深く考え込んでいた。
「…待てよ?もしかしたら…」
トムは思い出したようにポケットを探り何かを取り出した。
「何だそれは?」
「これに…賭けてみましょう。」
トムの手には熊子の名刺が握られていた。
「なるほど…確かに熊子なら…よし、熊本県に向かうぞ。」
~10分後~
「ここだ…高級熊キャバレーAKUMA…」
「気をつけろよトム。敵が待ち構えているかも知れない。」
「はい。」
チリンチリーン
「いらっしゃいませー何名様ですか?」
ドアを開けるとイケメン風のツキノワグマが応対にでた。
「四名だ。熊子さんを指名したいんだが。」
「ああ、熊子さんのお知り合いの方ですか。こちらへどうぞ。」
「あ、ああ…」
店員は奥の部屋へとトム達を案内した。
「こちらです。どうぞごゆっくり。トムさん」
「…何故僕の名を?」
「ふふ、何故でしょうね。では。」
店員は不気味な笑みを浮かべ去って行った。
「今は考えても仕方ない。行くぞ。トム。」
「はい。」
ガチャ・・・
「そろそろ来はるころかと思とりましたえ…トムはん。それから皆さん。」
「…熊子さん」
「まあみなさん立ち話もなんですさかい、座っておくれやす。」