こりゃ・・・恋!?
三泊四日の野郎旅行は、開放感と本音の突っ込み合いで結構楽しかった。
サトルたちは、帰りの深夜バスの中まで元気だった。
朝陽が出かかる頃、居眠りを始めた友人の横でサトルは、カーテンの隙間から外を眺めていた。
バスの到着は、街の中心部だったが、途中、サトルの暮す町の付近を通る。
(ここで下ろしてくれたらいいのに……)
ふと、視野に小さな看板が入った。不思議なほどスローに感じた。
(茶店?)
広告紙に印刷されているのだろうが、木目の柄に喫茶店名らしき文字が書かれていた。
サトルの興味が湧いてきた。駅に着くのが待ち遠しくなった。
部屋に戻ったが、その日は、昼頃まで寝てしまった。
目覚めてベッドから足を下ろすと、何か踏みつけた。
「痛てっ!」
そうだ。友人のひとりがそのまま泊まっていた。
「あ、居たんだ。ちょうどいい。付き合え」
「は?なんだ?何処へ?あの子んとこなら遠慮しとくよぉー」
いかにもといううすら笑いでサトルの顔を覗き込む。
「違うって。帰りのバスから良さげな店を見つけた。行くから付き合え」
渋る友人を「泊まり木の恩義返せ」と連れ出した。
サトルは、中古で買った軽自動車に友人を乗せ、曖昧なままの地図で走り始めた。
バスの車中から見えた看板ではなかったが、その印象的な看板を見つけた。
「あ、あれだ……けど店は何処だ?」
「あそこ。あれじゃね」
友人の示す方を見ると狭い間口から小路が伸びる。
「おっと、急にハンドル切るなよ」
「悪い。ここが駐車場かな?」
車が三、四台停まるスペースが有り、そこにある看板には『P』でも『駐車場』でもない文字が書かれてあった。
『車休め処』
サトルは、不思議な顔つきで見る友人とにやついた。