こりゃ・・・恋!?
今、サトルは、あの日ゼミの友人と遊ぶ計画を立てやってきた旅先だったが、アイスミルク・オレを飲みながら見つめたあの女の子のことばかり気になっていた。
(あの子はまだバイトしてるかなあー。今度は何を頼むか……)
(デートに誘う。ん?僕とデートして食べ物屋に行って『これ、何だろう?』なんて聞かれて『あ、これはね……』なんて答えられたらどうだ?ちょっとかっこいいじゃん)
(かといって、今の僕のバイトの稼ぎじゃ大した店にはいけないけど、まあファミレスでもいっかな)
「おい、サトル。何にやけてんだ」
「にやけてなんてないよ」
「ははあーん、また、あの子の幻でも見てんのか?」
「……」
「おっと。やっべ。図星?」
「やめとけ。可愛いあの子に『あらサトルってお口お子ちゃまー』なんて言われてみろ。一発デートで撃沈。浮上不能になるぞ」
「……そんなことないって、あの子は」
「あれ?もうデートできる気でいた?」
「え?マジかよ。いつの間に交換したんだ?」
「そういやぁ、レジで、もたついていたよなー。え!?あん時か」
「交換はしてないって。僕のだけ渡した。まだ連絡はこない。駄目かも。ま、また店に行って・・・」
「行ってじゃないでしょ。会いに行ってでしょ。もっと自信持てや、サトルちゃん」
「応援すっぞ。おまえが食べ物意外に興味を持ったことが素晴らしい。なあ」
「サトルが行かないなら、俺が行っちゃうよ」
「やめろよ。……それに彼氏居るかもしれないし」
「で、いいの?奪っちゃうくらいの気持ちないのぉ?」
その夜の酒の肴にされたのは当然の成り行きだった。
酔い覚ましに三人で外にふらりと出た。
辺りは外灯も少なく、見上げた夜空には、見たことないほどに星が煌めいていた。
サトルは、点つなぎしたかのように星の枠の中にあの子を思い浮かべていた。
(嗜好がお子ちゃまなのか……?)
「よし、決めた!」
「はぁ、何決めたの?ま、いっか」
三人は、宿までの僅か道をたらたら戻ると早々に眠ってしまった。
サトルは、あの子のことが気になりつつも、野郎三人旅を楽しんだ。
翌日は、同じような女子四人と意気投合してカラオケ店に行ったが、二人の妨害に親しくなる子はできなかった。