こりゃ・・・恋!?
運ばれてきた料理も、ふたりの話の中には入り込めないほど話が弾んでいた。
でも、終わり頃に花火の演出が施されたケーキが運ばれてきた時には、カオリはじっとそれを見つめていた。
花火が消え、ケーキの上に飾られたクッキーのプレートには【Happy Birthday KAORI】と書かれてあった。
これだけは、サトルからの注文だとカオリも何となくわかった。
「はい」
サトルが、テーブルの上にリボンがかかった小箱を置いた。
「気に入って貰えるといいけど」
先日、ユリが選んでくれたことは、秘密だ。
「開けるね」
カオリが、リボンを解き、箱を空け、その中身を手にするまでふたりは何も話さなかった。
「可愛い…んー綺麗…どお?ちょっと大人っぽく素敵?」
カオリは、それをずっと眺めていた。
「ケーキ食べないの?」
「食べるよ。あ、その前に私からも」
カオリは、傍らに置いていたバッグから箱を取り出し、サトルの前に置いた。
「何?僕に?」
「そう。誕生日過ぎちゃったけど、おめでとう」
「どうしてわかった?」
「どうしてかなー……だってサトル君、わかり易いもん」
「そっかなー」
「メールのアドレスでばればれだよ。でも渡しそびれちゃった。遅くなってごめんね」
「参ったな。どっちがサプライズなのか」
「それは、カオリのほうだよ。サトルがこんなにしてくれたことがサプライズ!びっくりぃーだよー」
隣の客が振り返るほど、カオリは嬉しそうに笑った。
サトルは、テーブル越しに身を乗り出すと小声でカオリに伝えた。
カオリは、フォークでケーキを口に頬張ると、フォークを咥えたまま 小さく頷いた。