こりゃ・・・恋!?
「今日は、特別なんでしょ?」
「いいよ」
ふたりは、店内に入ると、席に案内されるまで手を繋いでいた。
「あ、ちょっと待ってて。すぐ戻るから」
サトルは、入り口の所にいる店員に声をかけると、駐車場の方へと出て行った。
すぐに店内に戻ったサトルは、店員にチケットを出し、席に着いた。
「お待たせ」
「素敵な感じね」
「実はさ、ここのチケット貰ってさ。だから一緒に」
「そうなの?嬉しい。それに本当のこと言ってくれたから安心して食べちゃお。ありがとう」
「悪いな。僕だけじゃこんなとこ、連れて来れないからさ。カオリ。誕生日おめでとう」
「ありがとうね。本当に会えるだけで良かったんだよ。でもやっぱり嬉しい」
「はあ、今日は旨い飯が食えるーって感じ」
「えー。いつだって『今日のぶっかけ丼ください』って」
カオリは、サトルの声色を真似てみせた。
「あれは、旨いよ。他のも好きなメニューあるけど、おじさんの顔見るとどうもね」
「おじさんの味、いいでしょ?」
「うん、旨い!旨いけど…睨まれてるような…」
「私には優しいよ。サトル君には特別なのかな?」
「カオリについた悪い虫くらいなんだろうね」
「そうかも。でも来ないと『今日はどうした?』なんて気にするよ」
「へえー。そうなんだ。何か嬉しいな」
「そうだよ。サトル君、気に入られてると思うよ。おばさんはお気に入りみたい」
「僕には『おねえさんって呼ばなきゃ出入り禁止!』なんて時々言うよ」
カオリは、サトルの話によく笑った。
サトルもカオリと居ることが楽しかった。