こりゃ・・・恋!?
その姿に引きつけられるように車を寄せた。
カオリが、車に近づこうとした時、入って来たバスがクラクションを鳴らした。
サトルは、運転手に片手をひょこっと上げて、車を移動させ、カオリは、舌を出して肩を竦めた。
ほどよく、邪魔にならないだろう場所が空いた。
サトルは車を寄せ、ドアを開けた。
「こんにちは。乗ってもいい?」
「どうぞ。エスコートもしなくてごめんね」
カオリが、微笑みながら首を横に振った。
その仕草にサトルの鼓動は音を立てる…くらい早まった…気がした。
(可愛いな。初めて会ったときと変わんないや)
「サトル君…どうしたの?」
「あ、いやなんでもないよ。あ、こんにちは」
「う、うん。こんにちは」
(何上がってるんだ?いつも通りでいいはずなのに……)
「あ、た、たん…あ、おなか空いてる?」
「うん」
「今日さ、行く店決めてあるんだけど いい?」
(そうだ!サトルその調子!自分で励ましてどうする!)
「わあ、楽しみ」
(可愛い)
サトルは、目指すレストランへと車を走らせた。
まだ、夕食には少し早かったのか、駐車場には余裕があった。
入り口にほど近い場所に停め、運転席を素早く降りたサトルは助手席側に周りドアを開けた。
「どうぞ」
「うふふ。ありがとう。なんだかいつもと違うから可笑しい」
「まあいいじゃない。年に一度のことだしさ」
「えー。年に一回なの?クリスマスとかは?」
「それは、また別。さ、入ろう」
サトルは、カオリの手を握ろうかと思ったが、そのまま少し前を歩いた。
カオリはサトルの手元に手を掛けると横から見上げた。