こりゃ・・・恋!?
店内に入ると、サトルは気恥ずかしさに思うように品定めができなかった。
「えーっと、身につけるものがいいの?」
そう聞きながら、リードしてくれるユリの存在が今はありがたかった。
ユリのお見立ては、サトルにどんどんカオリのイメージを膨らませた。
「もうちょっと活発というか はつらつっていうか……」
「清涼飲料水ね。元気!はつらつ!って感じね」
からかっているのか、真面目なのか、くすくす笑いながら品物を見ている横顔をサトルは何となく見ていた。
「あ、これなんて どう?ところで、予算聞くの忘れてた!貧乏学生さんだったもんね」
「まあな、って余計なお世話だ。でもそうなんだ。はぁ」
「大丈夫。サトル君の好きな子なら、ちゃんとその辺のことわかると思うよ。じゃあこれね」
レジに向かうユリの後ろをサトルはついていった。
「すいません。プレゼント用にお願いします」
「はい。おリボンのお色は、どうされますか?」
色見本の台紙と振り返りサトルを見たユリは、リボンを指差した。
「これで」
「はい。では少々お待ちください」
サトルとユリは、レジから離れ過ぎない距離のアクセサリーの前で待った。
「あ、これ可愛いね。私の分は?」
「あいつにねだれ。なあ なんであの色?」
「あ、ビタミンカラーでいいでしょ。ピンクのリボンなんてつけたらサトル君渡せなさそうだし」
「……」
「かといって、初めてのプレゼント水色じゃあ寂しそうだし……って感じかな。実は私が貰って嬉しい色かもね」
なんだかわからないまま 感心しているとレジから声が掛けられた。
「お待たせ致しました。こちらで宜しいですか?お会計は・・・・・」
店員の言葉を半分に聞きながら、ごそごそと財布から生活軍資金を取り出し、レジに置いた。
「ありがとうございました」
店員の差し出す品をユリは、サトルに受け取るように顎を一度突き出した。
「あ、ああどうも」
サトルは受け取ると、ユリと一緒に店を出た。
「ありがとな」
「いえいえどういたいまして。彼女にあげる前に触れちゃあね。じゃあ頑張って」
「また、声かけるわー。番号あいつ知ってるだろ?」
「さあ、どうかなー。削除されてるかもね」
少し寂しげな表情を見せたユリが気になった。