こりゃ・・・恋!?
翌日、講義に出た帰りに実家へと立ち寄ったサトルをにんまりと母は迎えた。
「なんだよ」
「ううん、何でもないわよー。でも来ると思ったわ」
「……ありがたく貰っとくよ」
「はい」
母は、サトルにチケットの包みを渡した。
サトルが中身を確かめるとチケットと一緒に紙が入っていた。
「あ」
「まあ、バイトもしてるけど、一ヶ月遅れの誕生日祝いね。まあ明日恥かかないように」
サトルは、少し胸の奥に熱いものを感じた。
そして、掌を母の前に差し出した。
「何?この手……」
「ちょっとプレゼント代カンパ」
その掌を母はぱしっと叩くと笑った。
「あまい!自分のバイト代で何とかしなさい!」
「ははは。やっぱそうだよね」
「へえーそうなの。ふうーん。でもきっとその方が後々貴方も良かったと思うわよ」
「まあ、チケットありがと。親父にも礼言っといて。余計なことは言うなよ」
「言わないわよ。サトルに彼女ができたのよなんて」
「なんか信用できないけど。じゃあ午後の講義行って来る」
「はい。頑張って。また紹介してねー」
「するか!ってまたね」
サトルは、家を出ると、バイト先へと向かった。
(えっと、まだ時間あるし、何か見てくるか)
バイト先までの道から少し外れ、サトルはショッピングモールに寄り道した。
窓越しに店内を見て回っていると、店の中から女子が出てきた。
「サトル君?」
よく見れば、髪形は変わった所為ですぐにわからなかったが、友人の元カノのユリだった。
「おー久し振り」
「そっだね。ひとり?」
「そうだけど」
ユリは、サトルの顔をじっと見上げ微笑んだ。