こりゃ・・・恋!?
『車休め処』と書かれた駐車スペースに停めた中古で買った軽自動車に乗り、店を離れた。
向かう先は、自宅でも大学でもない。
時計を気にしつつ、車を走らせた。
ある駐車場の隅に車を停めると急いでその建物に駆け込んだ。
「セーフ。間に合った」
備え付けのタイムレコーダにカードを通す。
「あ、おはようございます。今から入ります」
店の店長に声を掛ける。
「品出しから頼むよ」と指示を貰った。
サトルのバイト先のドラッグストアだ。
週四日のアルバイトは、サトルにとって生活がかかっている。
家賃と授業料は、仕送りの援助もあったが、生活は自分次第。
実家から学校へ通えないわけではなかったが、無理を言って独り暮らしを始めた。
その条件としてアルバイトは不可欠だった。
給料日までは、あと五日。何とかここまで 持ち堪えていた。
ガソリンを使っても『おじさんキッチン♪』で食べる一食は、大きな意味がある。
他の日の食事制限をしながらも、カオリとデート出来ない分、通うのだ。
最近のドラッグストアは、食品を扱うところが増えてきた。
そこでその日が賞味期限のものは、割引されて売られるものもある。
サトルにとっては、大きなメリットだった。
仕事を終えて、腹の何分の一かを満たすパンを買って帰った。