こりゃ・・・恋!?
『今週のお試しサイズメニュー』は一律同じ価格だったが、通常の価格からすれば、決して高くはない。
むしろ、安価でお得だと思った。
「はい、どうぞ」
「あ、いただきます」
女は、テーブルから離れる際に腰をやや屈め、小声で言った。
「あ、おじさんに感想言ってあげてね。喜ぶから」
テーブルにおかれたパインジュースは飲むのも可愛いミニサイズ。
メニューの写真から抜け出したままなのだ。
まるで、自分がドールハウスにいるような。といってサトルの頭の中にはそんな空想は微塵もなかっただろう。
暫くして、女は、小さなパフェをテーブルに置いた。
「頼んでませんけど」
「特別。初めて来てくださった特典かな。おじさんが持ってけってさ。どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
去ろうとする女を呼び止めた。
「あ、お姉さん」
「はぁい」足を止めて振り向いた女は、満面の笑みと高めの声で返事した。
「メニューのここのシール気になるんですけど、何が書いてあるんですか?」
女は、人差し指を口の前に立てると「内緒よ」と小声で言った。
シールを捲る。
『ただし、お食事もしくはデザート一品を通常オーダー戴きます』
「あ、こんなの見せちゃっていいんですか?」
サトルも小声で聞き返した。
「おじさんの気まぐれ。これからも宜しくね」
女は、サトルの肩をぽんと叩くとカウンターの方へ行ってしまった。