こりゃ・・・恋!?
サトルは、メニューを読むように見ていった。
初めて見るような……
サトルが、まず驚いたのは価格のこと。安いのだ。
そして、驚いたのが、日本茶までメニューにあるのだ。例えば玄米茶。ほうじ茶。
友人が隣で呟く。
「なんだ、こりゃ」
確かに(そうだ)とサトルも思った。サトルは軽く手を上げ、カウンターの方に声を掛けた。
「すみません」
「はい。お決まりですか?」
「あ、いえまだ……あの聞いていいですか?」
(どうぞ)と女は頷いて席のところへ来た。
「あ、えーっと。お茶があるんですね。自分で淹れるんですか?」
「いいえ。あのおじさんよ」
女は、ちらりと男を見る。
「あ、マスターね」
「マスター!?いいの、おじさんで」
「そっすか」
隣から友人が口を出す。
「あ、じゃあ、これはなんですか?」
『今週のお試しサイズメニュー』
『お気に召さなかった場合は二品まで無料でお取替え致します』
『****************************』
「あ、これね。半分いや三分の一くらいかなー。試飲をどうぞってことよ。なら無料にしろ!って顔ね (笑)」
「あ、いえ、そんなこと……お、おば……お姉さん。何か頼めば、これも頼めるってことですか?」
「まあ、そういうこと。それにここでは、おばさんでOKよ。まあお姉さんっていうならピーナッツの一粒でもおまけするわ (笑)」
また友人が口を出す。
「面倒だし、儲からないでしょ」
「さあ、おじさんが決めたことだから、直接聞いてみて」
サトルと友人は、そーっと振り返る。
さきほどの柔らかな眼差しの男が、(聞くな!)とばかりに眼光鋭く見返す。
腹も空いていたサトルは、そのメニューからオムライスを頼んだ。
ふわとろ卵のまろやかさを壊さないソースがかけられていた。
「うんまっ!」
ドライカレーを食べている友人の舌もなかなか素直だ。サトルは、横からひと匙味見した。
「おお、旨い」
食事の後は『今週のお試しサイズメニュー』と書かれたメニューからパインジュースを頼んだ。