密室の中
捜査②
そのまた翌日。
「あの…」
「何です」
「…何でくっついて来るんですか」
「いいじゃないですか」
「いや……」
これ以上谷町警部に何を言っても無駄そうなので、調査に取り掛かることにした。
三郎と谷町警部は、今高野の仕事場に来ている。
「すいません」
そばにいた職員に話しかける。
「何でしょう?」
「あのー……」
「……早くして下さい」
「えー……」
「もういいです僕が聞きます。……えー、高野進さんの机は―――」
「あっ、あそこですよー」
確かに高野の机である。
「ふむ、きちんと整理されてますね」
どうでもいいことである。
「あっ、アイツですよ」
警部がある人物を指差した。
「高野さんを殺した容疑者が、アイツです」
名は平野徹。三十二歳らしい。
「高野さんに怒鳴られてばっかしだったそうです。二十二歳のときに入社したらしいですから、それが十年も続くと、殺意も芽生えてくるんじゃないでしょうか・・・」
「平野さんは無実ですよ」
「はぁ?」
「人を殺すような顔してないですもん」
「でもねえ……」
「あの人の事情聴取は無意味ですよ」
「ええーっ……」
三郎と警部は、他の者から話を聴くことにした。