密室の中
捜査①
翌日、三郎は殺害現場を訪れた。
「あの…」
「何です」
「…何でくっついて来るんですか」
「いいじゃないですか」
「いや…」
これ以上谷町警部に何を言っても無駄そうなので、調査に取り掛かることにした。
「玄関から血の跡が続いてますね」
「刺された高野さんのものです」
「おかしいですね。もし部屋の奥で高野さんが刺されたんだとすると、玄関に何をしに行ったのか。その逆だとしても、部屋の奥に何かあるということになります」
「あっ、これじゃないですか」
「何です」
「恐らく、高野さんの奥さんでしょう」
警部の手には、一枚の写真があった。
「どうします。この奥さんに、聞き込みしてみましょうか」
「いや、事件とはあまり関係がないでしょう。それに、その人の住所を特定するには、かなり時間がかかります」
「そうですか」
警部はそれを、もとの位置に戻した。