小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
瑠璃 深月
瑠璃 深月
novelistID. 41971
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

忘れられた大樹 後編

INDEX|13ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

大樹の袂に座っていたナリアが静かに立ち上がった。
「そのため、この大樹は役割を果たしました。人々からは忘れ去られ、ひっそりとこの森で生き続ける事でしょう。カレリ、サム。私たち星のシリン以外で、ハルを知るのはもはやあなた達だけ。どうか、ハルを忘れないで。そして、もう二度と、このような犠牲を払わせないでください。死に至ることよりも、忘れられてしまうことのほうが、ずっと辛いのだということも」
 ナリアの言葉に、二人の子供はしっかりと頷いた。
 その日、星のシリンと二人の子供たちを除く、世界中のすべての人間が、かつてこの森にいた一人の「森の人」を忘れた。
 カレリとサムは、森の村へと帰り、ハルのしてきたことを、既にハルを忘れてしまった村人たちに、神話として伝え、伝説にすることでその存在を守り続けた。

その後数百年のあいだ、カレリとサムは、シリンとして、そして唯一の森の伝承の語り部としてこの村に留まり続けた。そして、今に至る。