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太陽のはなびら

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【第三章:響く心】



日が少し落ちて、あたりは夕焼け色に染まってきた。
市場は少しずつ落ち着いてきて、なんだか少し、さみしさを感じた。
シンは自分の首に掛けられている、ヘッドフォンに触れる。
他人からプレゼントをもらったのは、実は初めてかもしれなかった。
これは、どんな事があっても大切にしていこう。
例え、この村を離れるとしても。シンは心の中でそう誓った。
さて、そろそろ家に帰ろう。そうピリカに伝えようとした時。
一人の男の怒声が、市場の中央のあたりから聞こえた。

「このクソガキっ! お前のせいで商品が台無しじゃねえか!」

「違うよ! 俺じゃない、俺は何もやってないよ!」

シンとピリカは、その声が聞こえる人だかりの中に入り込んだ。
そこには、先ほどヘッドフォンを売っていた商人が、一人の少年を責め立てていた。
商人の手には、壊れたアーティファクトが握られている。
シンとピリカは目を見開いた。

責められているのは、先程祭りで会った。ピリカの弟、ヨハンだったからだ。

作品名:太陽のはなびら 作家名:伊織千景