太陽のはなびら
【咎、愛に包まれ(2)】
書斎のドアを開けると、シンの背の高さほどの本の山が出来上がっていた。
その本の山の中から、かすかにリュヴリュの声が聞こえる。
シンは、その声を頼りに本の山を掻き分けて、リュヴリュを助け出した。
「あ、ありがとうございます」
頭に本が当たったからだろうか、リュヴリュは頭をさすりながら、気恥ずかしそうに言った。
「ずいぶんと沢山の本を読んでいたんだね。何を調べていたんだい?」
シンは山になった本のタイトルをいくつか眺める。
「言語の歴史」
「地方言語の起源」
「世界言語大全」
ほとんどが、言語に関する本だった。
ふとリュヴリュを見ると、その手には一つの辞書が握られていた。
「どうしたの? それ」
シンが尋ねると、リュヴリュは今までに無い、真剣な表情でシンに言った
「シンさん。あなたに言わないといけないことがあります」