太陽のはなびら
【言葉の世界が紡ぐ言霊(4)】
とうとうリュヴリュはシンに尋ねた。
できれば言いたくなかった名前の意味を。
「道徳上の罪」
自嘲気味に話すシンを、リュヴリュはポカンとした表情で見つめた。
「【シン】って名前はね。僕の両親が付けた名前じゃないんだ。これは僕のいた部族の間で、あることをできるようになった人間が代々受け継いできた名前なのさ」
リュヴリュはおそるおそるシンに尋ねる。
「シンさんは、なにができるようになったんですか?」
「道徳上してはいけないこと。出来てはいけない事。名前の通りさ。」
リュヴリュはしばらくシンを見つめた。
その純粋な視線に、シンはたまらずその視線から目をそらした。
流れるような楽しい会話はぱったりと止まり、静かな沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはシンだった。
「申し訳ないけど、僕はそんな奴なんだ。黙っていてごめん。できればでいいんだけれど、雨が上がるまでここにいることを許してほしい。雨が上がったらすぐに出て行くからさ」
リュヴリュは頷き、シンを客間に通した。
「よかったらここで少し休んでいってください。たぶんこの調子だと雨は一晩中降るでしょうから」
シンは感謝の意をリュヴリュに伝えて、ヒューイとともに客間に入る。
「私はちょっと知りたい事が出来たので、書斎に行きます。もし何かあったら言ってくださいね」
そういうと、リュヴリュはぱたりとドアを閉めた。