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太陽のはなびら

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【言葉の世界が紡ぐ言霊(3)】



「すごい、旅人さんは物知りなんですね!」

「本ばっかり読んでいたからさ。まあ、無駄な知識が多いけれど」

照れくさそうにシンは言う。

「なんだか不思議です。旅人さんってなんだか先生と少し似ています。先生も、よくこうやって私に世界について教えてくれました。私はその時間がとても好きだったんです」

ふと、リュヴリュはある事に気がついた様子で、申し訳なさそうにシンに尋ねた。

「あっ、すみません。まだ旅人さんのお名前を聞いていませんでした。よろしければ教えてもらえませんか?」

ちょっと、シンはためらった。出来ればその話題には行きたくないと思っていたからだ。しかし、目の前のリュヴリュの、期待で一杯の瞳を失望させたくは無かった。

「ああ、僕はシンっていうんだ。んで、あそこにいるのは相棒のヒューイ」
ヒューイは一声鳴いて、シンに答えた。

「シンさんにヒューイさん。お二人の名前にも意味はあるのですか?」

シンは頷く。

「ヒューイって言うのは、昔戦争で人を乗せて飛んでいた鉄の鳥の名前なんだ。回転する羽が胴体に二つ、尻尾に一つあって、とても大きかったから人が何人も乗れたらしい」

リュヴリュはヒューイを見て、こっちのヒューイさんも大きいけれど、
人は乗れなさそうですねと笑った。

「ちなみに道具に名前が付いている場合もある。僕の持っているこの剣にも名前があるんだよ」

シンは自分の腰のベルトに差し込んでいた剣を外して、リュヴリュに見せる。

「不思議な形の剣ですね。今まで見たことが無い形です」

「この剣は“メイキョウシスイ”っていうらしいんだ。お父さんから受け継いだ剣なんだ。けど、お父さんも意味は知らなかった。どんな意味か知りたいんだけれど、どこの言葉がわからないんだ」

リュヴリュは残念そうに肩を落とした。この子は本当に好奇心が旺盛なんだなあとシンはぼんやりと考えた。

「それじゃあ、シンさんの名前の意味は何ですか?」

作品名:太陽のはなびら 作家名:伊織千景