太陽のはなびら
【君は大丈夫(2)】
シンはクッキーをテーブルに広げる。
そして少女の煎れたお茶を一口飲みながら、少女の話を聞いた。
少女の名前はリュヴリュといい、先生という老人と一緒にこの家に住んでいるという。
リュヴリュは両親の記憶がなく、その先生という老人に育てられてきたらしい。
そして、ある日。
先生と一緒に食事をとった後、急激な眠気におそわれて、リュヴリュは眠り、
気がついたらシンに起こされたという。
「眠ったときは、雪がまだ降っていたのです。私はよく寝坊をしていましたが、数ヶ月眠るようなことはなかったんです」
シンは話を聞きながら考える。
確かに、数ヶ月も眠り続けるなど通常では考えられない。
眠る前の食事に、何か睡眠薬のような物が混ざっていたと考えるのが妥当だろう。
しかし、なぜ先生とやらは、そんなことをしたのだろうか。
「私は、捨てられてしまったのでしょうか」
今にも泣き出しそうな顔で、リュヴリュは言う。
シンは考える。それが一番可能性としては高い。
しかし、そんな答えを目の前の少女が求めているとは思えない。
そこで、シンは一芝居打つことにした。