太陽のはなびら
【第七章:深い眠りの中の君】
ドアを閉じたその後、屋根を何かが叩く音が聞こえ、その音は次第に強くなった。
窓から外を見るとすでに雨で外の景色が見えないほどになっていた。
「間一髪といったところでしょうか」
ヒューイは胸をなでおろす。
「こんなの、まるで物盗りじゃあないか」
「時と場合によります。今回はやむを得ない事情があるので大丈夫でしょう」
「都合のいい解釈のような気がするけど」
「すこしは都合よく考えていかないといけませんよ」
シンは一つため息をつき、ベッドに寝ている少女を見る。
眠っている女の子が一人の家に、無断で侵入。
ピリカさんが知ったらどう思うだろう。
少なくとも三時間以上ぶっ続けで説教されるだろう。
でもまあ、ピリカさんにあうことはもうないのだろうけど。
そんなことを考えていると、また空腹を訴えるイメージがシンの頭の中に流れ込んできた。
普通こんなに空腹だったら目が覚めるのに、少女はぴくりとも動かない。
たしかに、少し不自然かもしれない。シンはおそるおそる少女の寝ているベッド近づいた。