太陽のはなびら
【誰がため、我がため(2)】
シンは不思議そうにヒューイを見る。
「寝ているのなら動かないのが普通なんじゃない?」
ヒューイは首を振る。
「普通、生き物は寝ているときも、呼吸をすることで少しですが身体が動きます。しかし、その子は見る限り、そういうかすかな動きがなかった。まるで仮死状態の動物を見ているようでした」
シンは少し考えた後、ヒューイに尋ねる。
「要するに。普通じゃなかったってこと?」
「はい。それと南南西の方角から大きな雨雲が近付いてきています。しばらくしたらここに強烈なスコールが降るでしょう。このまま森の中にいるのは危険です。少女の様子が気になりますし、家のほうに向かってみませんか? ついでに雨宿りもさせてもらえるかもしれません」
「そっか。それじゃあ決まりだね。その女の子のいる家に行ってみよう」
ヒューイを肩に乗せ、シンはその家があるという方向へ歩いていった。