FLASH BACK
嬉しそうに返事をして、沙織は差し出された手を握った。鷹緒も沙織の笑顔を見て、安心するように頷く。
「じゃあ、撮影開始しよう。沙織が一番だからな」
「うん」
フロアに出るまでのほんの数歩だけだが、二人は手を繋いで歩いた。お互いの汗や温度や緊張が伝わり、たったそれだけで分かり合える何かがある気がする。
「撮影開始します!」
切り替えるように言った鷹緒の声に、フロアにいたスタッフたちが一斉にこちらを見た。
「沙織ちゃん、成人おめでとう! よろしくお願いします!」
新成人代表とも取れる本日第一号の撮影となる沙織の姿を見て、全員が気合を入れるようにそう言った。
「こちらこそ、よろしくお願いします! 嬉しい……忘れられない一日になりそう」
スタッフの気合が伝わったのか、沙織は嬉しそうに笑う。そんな沙織に、鷹緒も優しく微笑んだ。
「俺からもおめでとう、沙織」
「ありがとう。本当に嬉しい!」
こうして鷹緒と沙織の長い一日は、互いに高揚した状態でのいいスタートを切ることになる。
作品名:FLASH BACK 作家名:あいる.華音