ISSIYASU 前編
【由良】「よう。今日は珍しく学校に来るの早かったな」
数学の授業に精気を吸い取られた俺の上に能天気な声が降ってきた。
【磐手】「うっさい。お前まで……黙っとけ」
【由良】「おお怖い怖い」
【由良】「その様子だと他に誰かに言われたということか?」
少しからかってやるか。
【磐手】「ああそうだ。俺の連れにな」
※由良、驚き
【由良】「嘘だろっ」
【由良】「お前なんかがか?」
いちいちめんどくさい奴だな……。
※由良、普通
【由良】「う……、うむ……」
?
【由良】「し、しかし俺にはこれがあるっ」
バッと開いたそれは紫色の生地に骸骨の刺繍がなされたなんとも悪趣味なハンカチだった。
【磐手】「何か変な宗教にでもハマったか?」
つい俺は奴の精神状況を疑ってしまった。
【由良】「大丈夫だ。これは落とし物だ」
【磐手】「俺の友人に変質者がいたなんて!?」
※由良、驚き
【由良】「いやいや怪しいものではない」
【由良】「俺は昨日、花見に行こうと思ったのだ」
ふむふむ。
【由良】「しかし俺は気付いた。この時期は人がいっぱいで花をみるどころではないだろうと」
【由良】「そこで墓見に行ったのだ」
!?
【由良】「俺の予想どうり霊園には誰もいず、一人静かにお墓を見ることができた」
一気に奴の話が犯罪者の告白に!?
【由良】「まあそこで拾ったのがこのハンカチだ。これはどう見ても女物だろ?」
【由良】「これはもう巡りあいのチャンスだろ?」
【磐手】「ああ、そうなるといいな」
俺の適当な返事に満足げに頷いた由良は夢見心地な表情を浮かべた。
結局何が言いたかったんだよっ。
■SE0002:チャイム
【由良】「じゃあ、俺はもう自分の席に戻るわ」
※由良、退場
そう言って由良はふらふらと自分の席に戻っていった。
さて、次の授業は……。
※画面、暗転
■BG0005:教室
放課後
あちらこちらから運動部の歓声や掛け声が聞こえてくる。
しかし、俺はクラブに所属していない。
帰るか……。
いや、どかに寄ろうかな?
#SEL すぐに帰宅:シーン2_分岐2_1
#SEL 図書館に寄る:シーン2_分岐2_2
#SEL 屋上に寄る:シーン2_分岐2_3
;=======================================================================
;分岐2_1:すぐに帰宅
;=======================================================================
【磐手】「やっぱし、帰るか……」
※画面、横ワイプ
#GOTO 分岐2_X
;=======================================================================
;分岐2_2:図書館に寄る
;=======================================================================
;↓原案
;新作のラノベを購入申請する。
;葉月、ため息。
;ラノベ論(主人公)と名著論(葉月)で口論する。
;葉月冷めた後も主人公は熱く語る。
;葉月逃げる。
; そういや、新作のライトノベルが出るって由良が言っていたな……。
たまには図書館もいいか……。
【磐手】「よし、図書館に行くか」
※画面、横ワイプ
■BG0006:図書館
: 先に購入申請しに行くか……。
先に購入申請するか……。
※画面、横ワイプ
■BG0006:図書館
※葉月、登場
※葉月、通常
【葉月】「あ、先輩! 今日は何しに来たんですか?」
ああ……。
やっぱり葉月ちゃんは可愛いなあ。
この子は一個下の一年生。
いつも俺を先輩と呼んでくれる。
俺に会えたのが嬉しいのか小走りで駆けてくる。
※葉月、笑顔
【磐手】「新しい本が入ってないかなって思ってさ」
【葉月】「わぁ、先輩ありがとうごさいます」
【葉月】「それじゃあ、こっちに来てください」
※葉月、退場し、反対側から再び入ってくる
※葉月、通常
そう言って葉月は図書館のカウンターをポンポンと叩いた。
【磐手】「葉月は図書委員だったのか?」
【葉月】「はい。そうですよ」
【葉月】「それに、本を読むの大好きですから」
確かに、常に何かの本を持ち歩いていたな。
チラッと見た本のタイトルは十年以上前の宇宙の旅だった。
【葉月】「それで先輩は新しい本が入ってるかが知りたいんでしたよね」
葉月はしばらくパソコンと格闘していたが、暫くすると一枚の紙を印刷して俺の方に渡してきた。
【葉月】「新しい本はこんな感じですよ」
ありがとうと葉月に声を掛けて俺は図書館の本棚の中を歩くことにした。
※葉月、退場
あれ? ライトノベルがないぞ……。
それどころか堅い本で一杯だった。
; こりゃ駄目だ。題名からして難しそうだ。
;そう考えた俺は図書館を後にした。
;葉月がちょっと残念そうな顔をしていたが気のせいだろう。
しばらく探した俺は隅の方に追いやられていた軽小説コーナーを発見した。
厳しい人が図書委員になったんだろうな。
本の公開や購入、その他の図書館運営は図書委員が一手に握っている。
そうであるがゆえに委員会内の風潮次第ではこうなる。
俺は一冊の本を手に取ると椅子に座って読み始めた。
※画面、フェードアウト
※数秒後に画面、フェードイン
※葉月、登場
※葉月、笑顔
【葉月】「先輩、何読んでるんですか?」
振り返ると、手に一世紀の孤独という本を持った葉月が立っていた。
【磐手】「ああ……、これのことか?」
そう言って俺は葉月の方に表紙を向けた。
※葉月、悩み
【葉月】「むむ……」
?
どしたことか葵は表紙を見ると黙りこんでしまった。
しばらくすると、何か一つの結論に達したようで、
【葉月】「まあ、そういった本もいいですけどたまには違う本も読んでくださいね。」
それだけ言うと去っていった。
去り際に、
【葉月】「先輩が読んでいるなら私も読んでみようかな」
と聞こえた。
$FLG003 = ON
;図書館のラノベの地位向上
※画面、横ワイプ
#GOTO 分岐2_X
;=======================================================================
;分岐2_3:屋上に寄る
;=======================================================================
;中二病的なセリフを言う。
;「」
;クラスの女子(伊吹)に見られる。
;二人とも凍りつく。
;伊吹何も言わずに立ち去る。
※画面、横ワイプ
■BG0004:学校の廊下
やっぱり青春は屋上から生まれるよな。
ここはひとつやってみるか!
■SE0003:ドアの開閉音
■BG0007:屋上
作品名:ISSIYASU 前編 作家名:なお