超短編小説 108物語集(継続中)
現場から署に戻ったベテラン刑事の百目鬼も、白骨遺体の仏さんが今も生きてるというこの不可思議にデスクで頭を抱えてしまう。
しかし幾つもの修羅場をくぐり、百戦錬磨の鬼刑事、突然目を大きく開き、部下に訊く。
「この謎を解くための、次に着目すべきポイントは何だ?」
そんなのわかってるくせに。
芹凛はホントに面倒臭いオヤジだなと思ったが、上司のプライドを傷つけないように、「こんな事態になってしまうべき、誰かの動機であります」と答える。
百目鬼は無言で顎を引き、「よし、それに繋がる情報を集めてくれ」と。
「合点承知の助で、ありま〜す」
こうして芹凜はパソコンでの検索にのめり込んでいったのだった。
1時間が経過した。
芹凛が突然立ち上がり、百目鬼の前へと大巾で歩み寄る。
「刑事、お疲れでしょ、コーヒーでも入れましょうか?」
部下のいつものパターンだ。
百目鬼刑事はわかってる。情報をまとめ、一応完結の声掛けだと。
上司はカッと目を見開き、「1杯の香りよりも、まずは貴職の推理を聞こう」と。
この言葉に芹凛はニコッとし、プリントアウトした延命老人ホーム案内を手渡す。
そこには……。
あなたのそばに、
もし経験豊かなお年寄りがいれば、
価値ある助言を受け、
あなたの人生救われるでしょう。
もしご要望があれば、派遣致します。
素敵なシニアを。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊