超短編小説 108物語集(継続中)
いやとんでもない、もっと凄かったのはやっぱり七不思議。散策しながらアネ心が滔々と説明してくれました。
一の不思議は、池に泳ぐ鯉たち。それらはじっちゃん、ばっちゃんもいる、ご先祖様方の人面魚。
なぜ? だけどお久しぶり〜!
二は、梅林を流れる細流、ちょっと飲んでごらんと勧められ…、なんと梅酒ごわす。
三は、池の向こうに凜と立つ一本桜。薄紅に満開だ。あれ、今は秋。
なぜ? アネ心によると、この世に1本しかない『年がら年中桜』だそうな。まさに奇跡!
四は、散策道を雉のような鳥が一直線に走ってる。これを10回繰り返しやっと離陸。だがすぐに墜落。
あいつは始祖鳥よと。飛翔はまことに下手くそでした。だが妙ちきりん!
五は、ご婦人が野点。休憩にと一服、そして謝辞のため拝顔させてもらうと、背筋がゾォー。お岩さんでありんした。合掌!
六は、竹藪に黄と黒の縞模様の小動物が。私がトラネコだと言うと、あれはこの庭に生息する古代肉食獣のニワ虎だと仰る。
じゃあ、あそこにいる鶏(にわとり)は、古代のニワ鳥? まことに奇々怪々!
一応ここまでは順調でした。
「さてと、七つ目は神隠しですよね」
私が確かめますと、アネ心は無言で岸辺へと進み、「この池は底なしで、宇宙へと繋がってるのよ」と。
意味不明で私はポカーン、そのまま固まっていた時です、いきなり水面が吹き上がりました。そして現れたのです、七色に輝く直径30mはあろうかと思われる物体が。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊